NOIZが設計した、東京・渋谷区の「kitasando terrace」です。
共同住宅と事務所からなる都心の複合ビルです。建築家は、厳しい法規制の下で、空間の気積の確保と同時に“ヴォリュームの分節”等で周辺のスケールとの調和も志向しました。また、内外を繋ぐ“多様な中間領域”で都市の風景や自然の感受も意図されました。
千駄ヶ谷の住宅地に計画された、地上5階建のオーナー住戸を含む共同住宅と貸事務所で構成される複合ビル。
矩形のコンクリートボリュームが押し出されたり、引っ込んだりしながら重なり、そのボリュームのずれた部分を外部階段やテラス・バルコニー、軒下として再定義することで、様々な外部空間が建物の各部に襞のように織り込まれる構成としている。
都心の住宅地の厳しい斜線制限、日影規制に対して、天空率などを利用しながらできるだけ多くの空間の気積を確保する一方、建物としては上階にいくほどセットバックしたり、また全体ボリュームを細かく分節することで周辺の街並みとのスケールの調和を図っている。
ボリュームがXY軸方向に複雑にオフセットしていくという全体構成をまとめるにあたって、3D CADによる一貫した作業環境と検討フローを構築し、設計監理の効率化をはかった。
天空率、日影検討に際して、CADによる算定ツールを独自に作成し(Rhino+Grasshopperによるスクリプト)、精度の高いリアルタイムでの法適合検証をしながら、複雑な形態のボリュームスタディを行った。
また各階のプランがすべて異なるという条件であるため、設備配管も含めてすべて3次元データ内でモデル化することで、意匠、機能、施工性・メンテナンス性を総合的に検証しながら設備レイアウト検討・ビジュアライゼーションを行い、施工者との打合せなどにも活用していった。
以下の写真はクリックで拡大します
video©高木康広
video©高木康広, 菰池拓真
以下、建築家によるテキストです。
千駄ヶ谷の住宅地に計画された、地上5階建のオーナー住戸を含む共同住宅と貸事務所で構成される複合ビル。
矩形のコンクリートボリュームが押し出されたり、引っ込んだりしながら重なり、そのボリュームのずれた部分を外部階段やテラス・バルコニー、軒下として再定義することで、様々な外部空間が建物の各部に襞のように織り込まれる構成としている。
都心の住宅地の厳しい斜線制限、日影規制に対して、天空率などを利用しながらできるだけ多くの空間の気積を確保する一方、建物としては上階にいくほどセットバックしたり、また全体ボリュームを細かく分節することで周辺の街並みとのスケールの調和を図っている。
外部階段は建物ボリュームにまきつくように配置され、一見複雑な経路を描いているように見えるが、避難経路として一筆書き状になっており、2階の事務所はこの階段を使ってダイレクトにアクセスでき、それが第三者にとっても明示的になっている。一方でそこからの上階の住戸は北側EVを使うことを前提になっており、事務所利用者と住民の動線が交錯しないようなミニマルな動線計画となっている。
ボリュームがXY軸方向に複雑にオフセットしていくという全体構成をまとめるにあたって、3D CADによる一貫した作業環境と検討フローを構築し、設計監理の効率化をはかった。
天空率、日影検討に際して、CADによる算定ツールを独自に作成し(Rhino+Grasshopperによるスクリプト)、精度の高いリアルタイムでの法適合検証をしながら、複雑な形態のボリュームスタディを行った。
また各階のプランがすべて異なるという条件であるため、設備配管も含めてすべて3次元データ内でモデル化することで、意匠、機能、施工性・メンテナンス性を総合的に検証しながら設備レイアウト検討・ビジュアライゼーションを行い、施工者との打合せなどにも活用していった。
都内の住宅地にたつコンパクトな建物ではあるが、内外を結びつける多様な中間領域を設けることで、都市の風景や活動、風や緑などの自然を感じることができる懐の深い建築にしたいと考えた。
■建築概要
建物名称:kitasando terrace
所在地:東京都渋谷区
主要用途:事務所、共同住宅
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設計
建築・監理:NOIZ(豊田啓介、蔡佳萱、酒井康介) 担当/酒井康介、菰池拓真
構造:坪井宏嗣構造設計事務所 担当/坪井宏嗣、小山遼太※(※元所員)
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施工
建築:前川建設 担当/前川忠、岡本理沙
衛生:Fusion・3 担当/安江慎一郎、安江慎吾
空調:北村綜合設備 担当/北村豪
電気:日電システム 担当/松本章裕
ガス:東京ガス横浜中央エネルギー 担当/森野啓二
鋼製建具:文化シャッター 担当/三浦祥太
金属:改技研 担当/西山幸一
造作家具:プロペラ 担当/前川幸子
昇降機:三菱電機ビルソリューションズ 担当/山口裕人
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主体構造:RCラーメン構造
基礎:直接基礎
地域地区:第二種住居地域地域 準防火区域
階数:地上5階
最高高:14,520mm
軒高:14,200mm
天井高:2,250mm
道路幅員:西側5.4m、北側4.0m
敷地面積:147.71㎡
建築面積:104.35㎡
延床面積:346.05㎡
1階:95.13㎡
2階:87.34㎡
3階:85.30㎡
4階:59.47㎡
5階:18.81㎡
建蔽率:73.12%(許容80.00%)
容積率:201.13%(許容216.24%)
設計期間:2021年10月~2022年9月
工事期間:2022年10月~2023年9月
写真:高木康広
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 外装・屋根 | 屋根 | テラス:シート防水
屋上:アスファルト防水
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外装・床 | 外部廊下 床 | パラテックス防水
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外装・床 | 駐車場・床 | モルタル金コテ押え
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外装・壁 | 外壁 | 化粧型枠コンクリート打放+ランデックスコート(大日技研工業)
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外装・建具 | 開口部 | アルミサッシ:防火型MTG-70R(三協アルミ)
製作スチールサッシ
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外装・その他 | 階段 | 溶融亜鉛メッキ処理
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内装・床 | 1階、2階事務所 床 | ビニルタイル:ロイヤルストーン(東リ)
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内装・床 | 住戸共用エントランス 床 | 磁器質タイル:ナンバー9(アドヴァン)
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内装・床 | 3階賃貸住戸、4階オーナー住戸 床 | フローリング:オーク20サンマキアージュオイル(IOC)
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内装・床 | 4階オーナー住戸、5階オーナー住戸書斎 床 | フローリング:ハードメープル20クリアオイル(IOC)
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内装・床 | 住戸洗面室 | ビニルタイル:テラーノ(田島ルーフィング)
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内装・壁 | 1階、2階事務所 壁 | GB t=12.5
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内装・壁 | 住戸共用エントランス 壁 | 化粧型枠コンクリート打放
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内装・壁 | 3階賃貸住戸、4階オーナー住戸、住戸洗面室 壁 | GB t=12.5 EP塗装
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内装・壁 | 5階オーナー住戸書斎 壁 | GB t=12.5+突板練付化粧板 ウレタン塗装:ヨーロピアンオーク(北三)
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内装・天井 | 1階、2階事務所 天井 | 化粧型枠コンクリート打放
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内装・天井 | 住戸共用エントランス 天井 | フレキシブルボード
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内装・天井 | 3階、4階、5階 天井 | GB t=9.5+9.5 EP塗装
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