中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる
photo©Koji Fujii TOREAL

中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる

中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる鳥瞰、南側から見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる外観、アプローチ photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「本のコリドー」から中庭を見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「読み聞かせホール」、トップライトを見上げる。(建築家による解説:28本の本棚の縦桟がそのまま伸び、登り梁でレシプロカル構造を作る。細い縦桟は隣を支え、その縦桟はさらに隣に支えられることを繰り返すと一周して、初めて大きな空間が支えられる) photo©Koji Fujii TOREAL

中村拓志&NAP建築設計事務所が設計した、千葉・木更津市の「地中図書館」です。
農業生産法人が運営する施設内での計画です。建築家は、植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下に“やすらかな居場所”を志向しました。施設の公式サイトはこちら

晴れた日には畑を耕し、雨の日には読書をする。「地中図書館」はそんな人のためにある。
敷地は農業生産法人が運営するKURKKU FIELDSの一角にある。その平坦で乾いた土地は、建設残土で埋め立てられた谷の上にあった。

建築家によるテキストより

われわれは、農夫たちがマザーポンドと呼ぶ池に至る、緑豊かな谷筋を復活させること、そして建築は作土層を占有するのではなく、植物と土中微生物たちの繁栄の下に慎ましく存在するべきだと考えた。大地はあらゆる生命の源、母性の象徴として捉えられてきた。その大地に割け目を設けて、そこに耕す人の休息にふさわしい、やすらかな居場所をつくりたいと考えた。

建築家によるテキストより

その割け目は上空から見ると雫のような形をしている。歩いているうちにいつの間にか迷いこむようなアプローチを抜けて作土層をくぐると、本棚のコリドーがある。梁や柱といった建築的要素が排除され、外周部の土留め壁と袖壁からコンクリートボイドスラブが片持ちで跳ね出している。

床と壁、天井は土仕上げでなめらかに繋がり、スラブ小口の鉛直面まで植え込まれた芝がモサモサと下垂し、空間に湿り気を与えている。これは灌水と保水のバランスを季節によって調節可能なディテールとなっている。

内部の天井高は大地の傾斜に応じて決まるため、子どもしか入ることのできない天井の低い場所や小さな隠れ部屋がある。最深部には、読み聞かせのためのホールがある。芝の大地を大きく孕ませた子宮的空間には、階段状の席を本棚の襞が取り囲み、農園で働く人たちの蔵書や子どものための本が並ぶ。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる鳥瞰、敷地上空から見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる鳥瞰、南側から見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる俯瞰、南側から中庭を見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる俯瞰、南西側から中庭を見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる俯瞰、北側から中庭を見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる外観、アプローチ photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる外観、アプローチ photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる外観、アプローチから中庭を見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる中庭からアプローチを見返す。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「本のコリドー」から中庭を見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「本のコリドー」、「デスクニッチ」側を見る。(建築家による解説:傾斜地を切り抜いた本のコリドー。土と軟化剤を利用した左官を床の土舗装と壁、天井に用いている) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「本のコリドー」、「ベンチニッチ」を見る。(建築家による解説:ぎりぎり子供が入ることができる天井高1.3mから先を内部とし、本棚にベンチ、ソファ、デスクを組み込んだ) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる(建築家による解説:地中図書館のために製作した、レシプロカル構造のスツール) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「本のコリドー」から「読み聞かせホール」を見る。 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「読み聞かせホール」(建築家による解説:読み聞かせホールの架構である縦桟は薄い板を湾曲させた上で接着した集成材) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「読み聞かせホール」、トップライトを見上げる。(建築家による解説:横桟は円を描きながら上昇するように配置し、視線をトップライトに誘う) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「読み聞かせホール」、トップライトを見上げる。(建築家による解説:28本の本棚の縦桟がそのまま伸び、登り梁でレシプロカル構造を作る。細い縦桟は隣を支え、その縦桟はさらに隣に支えられることを繰り返すと一周して、初めて大きな空間が支えられる) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「読み聞かせホール」、トップライトを見上げる。(建築家による解説:読み聞かせのホールのトップライトは開閉式で、広場側から取り入れた空気をトップライトから抜く、自然重力換気のエコシステムを持つ) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「読み聞かせホール」から「本のコリドー」側を見返す。(建築家による解説:階段状のコルクベンチ。国内で消費されるコルク栓を再資源化したコルクの塊から作られる) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「書斎ニッチ」(建築家による解説:トップライトに万華鏡の効果を応用し、太陽や葉の動きを増幅させる) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「ピンホールニッチ」(建築家による解説:ピンホール効果をもたらす直径15ミリのトップライトがあるニッチ。テーブルの上に空模様を刻々と映し続けている) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる(建築家による解説:万華鏡が埋め込まれた本箱) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる「本のコリドー」、「デスクニッチ」を見る、夕景(建築家による解説:本の配置は図書館的なカテゴリーの分類を避け、農夫が見つめる自然要素でカテゴリー分けをした) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる中庭から「本のコリドー」を見る、夕景(建築家による解説:引き出すと光量を調整できる特注本棚照明が館内を照らす) photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる外観、アプローチから中庭を見る、夜景 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる俯瞰、「本のコリドー」を見る、夜景 photo©Koji Fujii TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる平面図 image©中村拓志&NAP建築設計事務所
中村拓志&NAP建築設計事務所による、千葉・木更津市の「地中図書館」。農業生産法人が運営する施設内での計画。植物や微生物の反映の下にある“慎ましい”存在を求め、大地の下の“やすらかな居場所”を志向。大地と人間の叡智に包まれながら“地球を想う”図書館をつくる断面図 image©中村拓志&NAP建築設計事務所

以下、建築家によるテキストです。


晴耕雨読の図書館

晴れた日には畑を耕し、雨の日には読書をする。「地中図書館」はそんな人のためにある。
敷地は農業生産法人が運営するKURKKU FIELDSの一角にある。その平坦で乾いた土地は、建設残土で埋め立てられた谷の上にあった。

われわれは、農夫たちがマザーポンドと呼ぶ池に至る、緑豊かな谷筋を復活させること、そして建築は作土層を占有するのではなく、植物と土中微生物たちの繁栄の下に慎ましく存在するべきだと考えた。大地はあらゆる生命の源、母性の象徴として捉えられてきた。その大地に割け目を設けて、そこに耕す人の休息にふさわしい、やすらかな居場所をつくりたいと考えた。

その割け目は上空から見ると雫のような形をしている。歩いているうちにいつの間にか迷いこむようなアプローチを抜けて作土層をくぐると、本棚のコリドーがある。梁や柱といった建築的要素が排除され、外周部の土留め壁と袖壁からコンクリートボイドスラブが片持ちで跳ね出している。

床と壁、天井は土仕上げでなめらかに繋がり、スラブ小口の鉛直面まで植え込まれた芝がモサモサと下垂し、空間に湿り気を与えている。これは灌水と保水のバランスを季節によって調節可能なディテールとなっている。

内部の天井高は大地の傾斜に応じて決まるため、子どもしか入ることのできない天井の低い場所や小さな隠れ部屋がある。最深部には、読み聞かせのためのホールがある。芝の大地を大きく孕ませた子宮的空間には、階段状の席を本棚の襞が取り囲み、農園で働く人たちの蔵書や子どものための本が並ぶ。

本棚の40mm厚の縦桟は、そのまま頭上に伸びて空間を支えている。細い縦桟は隣を支え、その縦桟はさらに隣に支えられることを繰り返すと、一周して初めて大きな空間が支えられる。相互扶助の連鎖の先に、強い個人だけでは到底成し得ない社会的空間が立ち上がるのだ。

このKURKKU FIELDSの農村的共同体を象徴する架構中央のトップライトは、青い空と雲に包まれた地球のような光景を縁取る。大地と人間の叡智に包まれながら、地球を想う図書館である。
(中村拓志)

■建築概要

題名:地中図書館/Library in the Earth
所在地:千葉県木更津市矢那2503
主用途:図書館
建築・監理:中村拓志 & NAP建築設計事務所
担当:中村拓志、高井壮一朗、志藤拓巳、比佐彩美
構造設計:金箱構造設計事務所
施工:住友林業株式会社
造園:SOLSO
階数:地上1階
構造:RC造 一部木造
敷地面積:732.02㎡
建築面積:133.26㎡
延床面積:113.09㎡
竣工年月:2022年4月
竣工写真:Koji Fujii / TOREAL

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外装・屋根読み聞かせホール 屋根

E-ソイル大林緑化
アスファルトシングル田島ルーフィング

外装・屋根本棚スペース 屋根

屋上緑化大林緑化
軒先緑化京和グリーン

外壁外装・壁

左官仕上げ t=10mm地球環境技術研究所
超速硬化ウレタン塗膜防水田島ルーフィング

外装・建具開口部

鋼製建具(デバイス)
トップライト特殊技研

内装・床読み聞かせホール 床

床 コルクタイル t=5mm:CK-B5東亜コルク

内装・床本棚スペース、ピンホールニッチ 床

土舗装 t=15mm地球環境技術研究所

内装・床書斎ニッチ 床

オークフローリング t=14mm望造

内装・壁読み聞かせホール 壁

ジョリパット吹付t=3mm:JQ-650アイカ工業

内装・壁本棚スペース 壁

土左官 t=10mm地球環境技術研究所
縦桟 横桟ノースパイン集成材t=36mm

内装・壁書斎ニッチ 壁

土左官 t=10mm地球環境技術研究所

内装・壁ピンホールニッチ 壁

モールテックス t=3mmBEAL

内装・天井読み聞かせホール 天井

ジョリパット吹付t=3mm:JQ-650アイカ工業
縦桟アカマツ湾曲集成材 t=40mm(製材・加工:ティンバラム
横桟アカマツ集成材 t=35mm

内装・天井本棚スペース、書斎ニッチ 天井

土左官 t=10mm地球環境技術研究所

内装・天井ピンホールニッチ 天井

モールテックス t=3mmBEAL

外構・床中庭 外構

芝張り大林緑化
ケンバス材枕木

外構・床散策路 外構

土舗装 t=50mm地球環境技術研究所

企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

あわせて読みたい

#NAP建築設計事務所の関連記事

#金箱構造設計事務所の関連記事

この日更新したその他の記事

POINTとSpicy Architectsのデザイン監修による「埼玉グランドホテル本庄」。バブル期の宿泊施設の改修。個性ある仕上げ同士が“魅力を打ち消し合う”現状に対し、其々の関係を整理し“新たに定義”する設計を志向。床から2.1m以上を“マット”仕上げとして既存の“ピカピカ”を引立てる
POINTとSpicy Architectsのデザイン監修による「埼玉グランドホテル本庄」。バブル期の宿泊施設の改修。個性ある仕上げ同士が“魅力を打ち消し合う”現状に対し、其々の関係を整理し“新たに定義”する設計を志向。床から2.1m以上を“マット”仕上げとして既存の“ピカピカ”を引立てる外観 photo©長谷川健太
POINTとSpicy Architectsのデザイン監修による「埼玉グランドホテル本庄」。バブル期の宿泊施設の改修。個性ある仕上げ同士が“魅力を打ち消し合う”現状に対し、其々の関係を整理し“新たに定義”する設計を志向。床から2.1m以上を“マット”仕上げとして既存の“ピカピカ”を引立てる1階、ロビーからフロントを見る。 photo©長谷川健太
POINTとSpicy Architectsのデザイン監修による「埼玉グランドホテル本庄」。バブル期の宿泊施設の改修。個性ある仕上げ同士が“魅力を打ち消し合う”現状に対し、其々の関係を整理し“新たに定義”する設計を志向。床から2.1m以上を“マット”仕上げとして既存の“ピカピカ”を引立てる1階、ラウンジ photo©長谷川健太
POINTとSpicy Architectsのデザイン監修による「埼玉グランドホテル本庄」。バブル期の宿泊施設の改修。個性ある仕上げ同士が“魅力を打ち消し合う”現状に対し、其々の関係を整理し“新たに定義”する設計を志向。床から2.1m以上を“マット”仕上げとして既存の“ピカピカ”を引立てる5階、朝食会場 photo©長谷川健太

長岡勉 / POINT山本稜 / Spicy Architectsのデザイン監修による、埼玉・本庄市の「埼玉グランドホテル本庄」です。
バブル期の宿泊施設の改修計画です。建築家は、個性ある仕上げ同士が“魅力を打ち消し合う”現状に対し、其々の関係を整理し“新たに定義”する設計を志向しました。そして、床から2.1m以上を“マット”仕上げとして既存の“ピカピカ”を引立てることが意図されました。施設の公式サイトはこちら

二つ以上のモノごとの関係を新たに定義すること。突き詰めると空間設計とはこのことの連続であると思う。
80年代のいわゆるバブルの時代に建てられたホテルのリノベーションのデザイン監修と家具の設計を行った。

建築家によるテキストより

既存の建物の仕上げは、石が貼られ、シャンデリアが吊られ、金色のメッキがされた派手な天井など、80年代という時代背景を反映した設えをしていた。それらは、単体では手間をかけられ個性があるのだが、それらが全て現れると、その個性がぶつかりあい、魅力を打ち消しあっていると感じた。なのでそれらを整えることで、魅力ある個性を引き出すことにした。

建築家によるテキストより

基本的な内装仕上げは磨かれている。石も磨かれているし、金属も磨かれている。それらピカピカに磨かれたアイテム同士が喧嘩してる状態を調和するように、床から2100mm以上の壁と天井を全てマットでの吹き付け仕上げとした。ピカピカを引き立てるザラザラ。

こうすることで、2つの質が調和した心地よい空間の背景が出来上がった。そこに、古いモノと新たに加えられるモノとの関係を、時には対比的に時には韻を踏むように同調させながら、お互いの関係が魅力的に引き立て合うように、家具や仕上げを決定して行った。具体的には以下となる。

建築家によるテキストより
石上純也へのインタビュー。石上作品の「House & Restaurant」で遠山正道と鈴木芳雄が話を聞く

石上純也へのインタビューが、curiosityに掲載されています。石上作品の「House & Restaurant」で遠山正道と鈴木芳雄が話を聞いています。House & Restaurantは、アーキテクチャーフォトでも特集記事として紹介しています。

Subscribe and Follow

公式アカウントをフォローして、
見逃せない建築情報を受け取ろう。

「建築と社会の関係を視覚化する」メディア、アーキテクチャーフォトの公式アカウントです。
様々な切り口による複眼的視点で建築に関する情報を最速でお届けします。

  • 情報募集建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
  • メールマガジン メールマガジンで最新の情報を配信しています。