小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 外観、南側の道路より駐車場を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、左:主室、右:和室 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、ダイニングとキッチン photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、作業場と1階と2階への階段 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIO が設計した、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」です。
開発と未開発が混ざる地域での計画です。建築家は、未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向しました。また、庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造りました。
不確かな環境があった。
1997年の東京湾アクアライン開通以来、袖ケ浦は東京都心まで1時間で繋がる首都圏となった。1968年に線引きされた市街化調整区域は、住宅需要に圧されて少しづつ宅地開発が許可されていて、畑や藪と住宅地がせめぎ合う前線に敷地がある。お施主さんが土地を入手したのは藪が切り開かれて宅地造成されている途中の2022年だった。設計をしている間に造成が終わって真新しい宅地が姿を見せ、ポツポツと住宅が建ち始めた。
特徴を求めて敷地のまわりを観察する。南には畑、西には道路。畑の向こうには藪と鉄塔と開発宅地が見える。西の道路は十数区画の開発宅地の行き止まりで、建ちつつある住宅には様々な立面が張り付いている。宅地の区画は200㎡以上で、塀はなく、隣棟間隔が広い。隣の市街化区域には同じような開発宅地が多い。この辺りは農家住宅・畑・藪が多くあって、いずれも囲いは無く、見た目には境界が分からない。開発と未開発が混ざっている感じと、起伏のある地平が広がっている感じがある。
不確かな環境において住む手がかりとなる庭をつくる。
十分広い敷地に対して建物を計画すると、半分くらいは庭になる。市街化調整区域にある南の畑はいつ宅地開発されるか分からないが、それでも畑と庭は連続すべき。西の道路の向かいにはどんな住宅が建つか分からないが、隣家は一定のセットバックをするだろうし、道路は行き止まりなので静かな空地なので、道路と庭は連続すべき。そのような憶測をもとに、庭は南西にセットする。
周辺環境を信頼して連続と開放を求めれば、周辺環境が変化したときに手詰まりとなる。一方で周辺環境に不信を抱いて敷地内に自閉するのではこの地域の良さを享受できない。変化するかもしれない周辺環境にどっちつかずの態度で接するのが適当と考えて、畑と道路のどちらにも顔を向けられる庭の位置にした。たとえ畑が宅地になったとしても、あるいは道路の向かいに予想外の家が建ったとしても、それなりの住環境を保てるだろう。
環境と庭を手がかりに間取りをつくる。
環境と庭に対して一方向の開放としては長年の居住で飽きてしまうし、周辺環境が変化したときに手詰まりとなるので、庭と建物の境界を雁行させたり辺を斜行させる。室内に複数の方向への開放、手前と奥、中心と周辺の差ができるように変形を加えていく。周辺環境と庭の都合で外形が定まってくる。
このあたりで木造の制約を意識し始めている。我慢が少ない生活空間にするには2.7mスパンあれば足りる。一方で、材積が抑えられた秩序のある架構を目指すとなると、桁と棟を2.7m間隔に置き、その平行線上に柱を置くのが良さそうだと勘づく。外形の都合と生活の都合と木造架構の都合が平衡して間取りが決まる。外形と生活と木造架構が互いに無理を強いていない状態を、一旦の平衡状態とする。
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小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 外観、東側の畑より見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 外観、南側の道路より見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 外観、南側の道路より見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 外観、南側の道路より見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 外観、南側の道路より見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 外観、南側の道路より駐車場を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 外観、庭から駐車場側を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 駐車場より庭側を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 駐車場から南側の道路を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、玄関 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、主室側から玄関を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、玄関から主室を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、左:和室、正面:玄関、右:作業場への階段 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、左:主室、右:和室 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、和室からテラスを見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、和室からダイニングとキッチンを見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、和室側からダイニングとキッチンを見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、キッチン側から主室を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、主室からテラスと庭を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、左:テラス、右:主室 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、左:テラス、右:主室 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、主室からダイニングとキッチンを見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、ダイニングとキッチン photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、ダイニングとキッチン photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、キッチンからダイニング越しに和室を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、キッチンからダイニング越しに和室を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、作業場 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、作業場 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、作業場 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、作業場から主室側を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、作業場から主室を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、作業場と1階と2階への階段 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階から2階への階段 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、階段から作業場越しに主室を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階、階段から作業場越しに主室を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 2階、階段から寝室を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 2階、トイレ側から吹抜を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 2階、トイレ側から吹抜越しに寝室を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 2階、寝室 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 2階、寝室から階段側を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 2階、左:寝室、右奥:トイレ photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 2階、寝室から開口部越しに外部を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 2階、寝室から開口部越しに外部を見る。 photo©小笹泉
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 配置図 image©IN STUDIO
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 1階平面図 image©IN STUDIO
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 2階平面図 image©IN STUDIO
小笹泉+奥村直子 / IN STUDIOによる、千葉・袖ケ浦市の「準安定の家」。開発と未開発が混ざる地域での計画。未来の“不確かな環境”を前提とし、“仮定”を集積させた上で“平衡”を重視する設計を志向。庭・生活・架構などの様々な要素を調整して“変化”を許容できる建築を造る 断面図 image©IN STUDIO
以下、建築家によるテキストです。
1.環境
不確かな環境があった。
1997年の東京湾アクアライン開通以来、袖ケ浦は東京都心まで1時間で繋がる首都圏となった。1968年に線引きされた市街化調整区域は、住宅需要に圧されて少しづつ宅地開発が許可されていて、畑や藪と住宅地がせめぎ合う前線に敷地がある。お施主さんが土地を入手したのは藪が切り開かれて宅地造成されている途中の2022年だった。設計をしている間に造成が終わって真新しい宅地が姿を見せ、ポツポツと住宅が建ち始めた。
特徴を求めて敷地のまわりを観察する。南には畑、西には道路。畑の向こうには藪と鉄塔と開発宅地が見える。西の道路は十数区画の開発宅地の行き止まりで、建ちつつある住宅には様々な立面が張り付いている。宅地の区画は200㎡以上で、塀はなく、隣棟間隔が広い。隣の市街化区域には同じような開発宅地が多い。この辺りは農家住宅・畑・藪が多くあって、いずれも囲いは無く、見た目には境界が分からない。開発と未開発が混ざっている感じと、起伏のある地平が広がっている感じがある。
ところで、歴史の無い宅地に寄りすがって設計するのには不安がある。一方で地歴を感じる畑の広がりは爽快である。ところがその畑もいつか開発されるかもしれない。この敷地を取り巻く文脈は安定しておらず、かといって設計できないほど不安定でもなく、準安定状態といえよう。しかしここには暗い感じは無く、むしろ自由と軽やかさの源泉のように思えた。
2.庭
不確かな環境において住む手がかりとなる庭をつくる。
十分広い敷地に対して建物を計画すると、半分くらいは庭になる。市街化調整区域にある南の畑はいつ宅地開発されるか分からないが、それでも畑と庭は連続すべき。西の道路の向かいにはどんな住宅が建つか分からないが、隣家は一定のセットバックをするだろうし、道路は行き止まりなので静かな空地なので、道路と庭は連続すべき。そのような憶測をもとに、庭は南西にセットする。
周辺環境を信頼して連続と開放を求めれば、周辺環境が変化したときに手詰まりとなる。一方で周辺環境に不信を抱いて敷地内に自閉するのではこの地域の良さを享受できない。変化するかもしれない周辺環境にどっちつかずの態度で接するのが適当と考えて、畑と道路のどちらにも顔を向けられる庭の位置にした。たとえ畑が宅地になったとしても、あるいは道路の向かいに予想外の家が建ったとしても、それなりの住環境を保てるだろう。
3.間取り
環境と庭を手がかりに間取りをつくる。
環境と庭に対して一方向の開放としては長年の居住で飽きてしまうし、周辺環境が変化したときに手詰まりとなるので、庭と建物の境界を雁行させたり辺を斜行させる。室内に複数の方向への開放、手前と奥、中心と周辺の差ができるように変形を加えていく。周辺環境と庭の都合で外形が定まってくる。
このあたりで木造の制約を意識し始めている。我慢が少ない生活空間にするには2.7mスパンあれば足りる。一方で、材積が抑えられた秩序のある架構を目指すとなると、桁と棟を2.7m間隔に置き、その平行線上に柱を置くのが良さそうだと勘づく。外形の都合と生活の都合と木造架構の都合が平衡して間取りが決まる。外形と生活と木造架構が互いに無理を強いていない状態を、一旦の平衡状態とする。
4.屋根
環境と庭と間取りに、構えと空間を与える屋根を架ける。
不確かな環境に対して確かな奥をつくること、規範のない宅地に構えをつくること、当面は広がりを期待したい畑の地平を受け入れること、室内から様々に外が見えて光が得られることを条件と決めて、道路に妻面・畑に平面とする1群4枚の2寸勾配屋根を架ける。屋根は室内の外形から大きく張り出して、庭と車停めをも覆う。屋根が環境と庭と間取りを統合する。
屋根は複数枚に分かれていて環境の開放性に応えるとともに、群の造形によって構えと覆いをなしていて不確かな環境に応える。小さくて大きく、単純であって複雑であり、離散的であって求心的であり、素朴であって立派である。対の意味や、矛盾や、不確かさを屋根が調停する。
5.床、家具
屋根の下に人が住む場所をつくる。
屋根の下はまだ不確かでスケールが大きくて人が住むには心もとなく、経験される空間が一様で一意的である。そこで1階の床に凹凸させて2階の床につなぎ、気分が途切れないように地平とすべての床を連続させる。床の段差は空間に複数の向きを与えるとともに、屋根の勾配と合わさって空間が流動する。
段差に応えるようにキッチンとテーブルのセット・デスク・階段を設え、住む人の姿勢と向きをアフォードする。室内が機能を備えて、人の住める場所がようやく現れる。
6.印象の仕立て
場所の印象を仕立てる。
不確かな環境や目まぐるしい生活に対する確固たる印象と、住み続けるための繊細な印象をもたらす必要があり、架構によってインテリアを仕立てる。見付120mm、見込10mm程度の軸組が現れるように、繊維板をはめ込む。2730mmピッチで強い印象の構造材が現れるとともに、910mmピッチで構造とも化粧とも見て取れる木材が現れる。一本一本の木材も一枚一枚の繊維板も、ともに自律的な形を見せるようにして、群が覆いをなす場所とする。
基調となるスケールを架構でつくった上で、その半分の400mmほどのモジュールで家具を仕立てて高密さをもたせたり、3-4mほどの窓・柱・天板・手摺壁でもって壮大さをもたせたり、スケールとプロポーションで印象をつくる。
7.環境の見立ての更新
不確かな環境から始めて、仮定を積み上げて、平衡に気をつけながら、空間を現実につくると、現実が少し更新されたように感じる。
目の前にある畑は奇跡的に存在しているように見えるし、同じ宅地にある木造住宅は開花していない可能性が潜在しているように見える。環境から始めて場所をつくると環境の見立てが更新されるのである。
永く持続した場所であれば、都市が建築をつくり、建築が都市をつくり、街並みが生まれて、文化が生まれるだろう。それはオーセンティックで強度のある空間の編まれ方であるが、世界に現存する環境は不確かであることの方が多い。
不確かさを前提とした空間の作り方を個々に繰り返すことで、世界を良い方向に前進させられるのではないだろうか。本住宅はそうした実践の一粒である。
■建築概要
題名:準安定の家
所在地:千葉県袖ケ浦市
主用途:戸建専用住宅
設計監理:IN STUDIO 設計監理担当/小笹泉、奥村直子
施工:末吉林業
構造設計監理:MOF 構造設計監理担当/諸藤仁美
構造:在来木造
階数:地上2階
建築面積:109.30㎡
延床面積:92.17㎡
設計:2022年2月~2022年12月
工事:2023年1月~2023年7月
竣工:2023年7月
写真:小笹泉