岩岡竜夫 / アトリエ・アンド・アイ、森昌樹 / モリイズアトリエ、横尾真 / OUVIが設計した、長野・松本市の「松本三の丸スクエア」です。
城下町の中心部での診療所付き戸建住宅の建替計画です。建築家は、用途に応じて“診療棟・住居棟・倉庫棟”の3つの建物に分け、相互隣接する配置として“街中のコア”となる“小広場”を創出しました。また、既存庭のランドスケープも継承して造りました。
松本城公園の南側に隣接する道路の拡幅工事に伴う、診療所付き戸建て住宅の移設建替計画である。
行政から提供された建替用地は従前の敷地と一部重なっていたため、松本城天守への素晴らしい眺望と、旧家屋の庭のランドスケープをそのまま担保することができた。
敷地の近辺は、お城の外堀と女鳥羽川に挟まれた、いわゆる三の丸エリアと呼ばれ、自立した文化都市を目指す城下町の中心部としての再開発が今後望まれる地域である。皮膚科を専門とする3代目の開業医である施主は、新たな診療所と住まい、そして絵画や書物のための収蔵庫を要望した。本計画では、新たな敷地内に3つの建物(診療棟、住居棟、倉庫棟)と4つの外部空間(中庭、前庭、南庭、駐車スペース)を分散的に配置させている。
3つの建物はすべて総2階で、やや縦長の壁のようなヴォリュームとし、相互に隣接させることでその内側に周辺からブロックされた中庭を形成している。このスペースは視覚的には外側から閉ざされているが、通りすがりの人々に開放されており、そのため建物の中庭側への開口部の大きさをやや抑えている。中庭(コートヤード)というより小広場(スクエア)に近く、街中の小さな「コア」あるいは現代版「枡形」として、様々なイベントに活用される予定である。
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以下、建築家によるテキストです。
閉じつつ開く 分棟形式による建築と周辺環境の新たな関係
松本城公園の南側に隣接する道路の拡幅工事に伴う、診療所付き戸建て住宅の移設建替計画である。
行政から提供された建替用地は従前の敷地と一部重なっていたため、松本城天守への素晴らしい眺望と、旧家屋の庭のランドスケープをそのまま担保することができた。
敷地の近辺は、お城の外堀と女鳥羽川に挟まれた、いわゆる三の丸エリアと呼ばれ、自立した文化都市を目指す城下町の中心部としての再開発が今後望まれる地域である。皮膚科を専門とする3代目の開業医である施主は、新たな診療所と住まい、そして絵画や書物のための収蔵庫を要望した。本計画では、新たな敷地内に3つの建物(診療棟、住居棟、倉庫棟)と4つの外部空間(中庭、前庭、南庭、駐車スペース)を分散的に配置させている。
3つの建物はすべて総2階で、やや縦長の壁のようなヴォリュームとし、相互に隣接させることでその内側に周辺からブロックされた中庭を形成している。このスペースは視覚的には外側から閉ざされているが、通りすがりの人々に開放されており、そのため建物の中庭側への開口部の大きさをやや抑えている。中庭(コートヤード)というより小広場(スクエア)に近く、街中の小さな「コア」あるいは現代版「枡形」として、様々なイヴェントに活用される予定である。
この3つの建物は3,185ミリのスパンをもつ帯状のコアをそれぞれ中心に備えつつ、両側を910mmもしくは1,365mm拡げている。それらは来客動線と事務動線に挟まれた診察室のある診療棟、廊下と縁側に挟まれた居室のある住居棟、水平動線のない倉庫棟のように、居室と動線の組み合わせによる類型で構成されている。
各棟の内壁面の各所に貼られた有孔パネルは、室内の音環境を制御するとともに、異なる用途の建物を全て展示空間のような機能で覆うためのものである。一方、居室を仕切る壁面に帯状に縦に貼られた455ミリ幅の有孔壁は、建物の床下を流れる暖気を2階居室へ繋ぐ垂直ダクトの吹出し口としての役割を担っており、高気密高断熱仕様の外皮と相まって、エアコン特有の不快な風を感じない、さながら輻射式冷暖房のような効果を生んでいる。
■建築概要
作品名:松本三の丸スクエア
所在地:長野県松本市
建築主:徳田安孝
設計:アトリエ・アンド・アイ / 岩岡竜夫、モリイズアトリエ / 森昌樹、OUVI / 横尾真
施工:岡江組
構造:木造在来工法
地域地区:商業地域 準防火地域 景観計画区域
道路幅員:南6.5m 北31m
建築面積・建蔽率:診療所棟114.9㎡、住居棟103.3㎡、倉庫棟47.4㎡・20%(許容80%)
延床面積・容積率:診療所棟214.7㎡、住居棟195.0㎡、倉庫棟85.1㎡・37%(許容390%)
1階:診療所棟114.9㎡、住居棟101.9㎡、倉庫棟43.3㎡
2階:診療所棟99.8㎡、住居棟93.1㎡、倉庫棟41.8㎡
階数:地上2階
高さ:最高高さ 7,590mm、軒高 5,570mm
設計期間:2021年5月~2021年10月
施工期間:2021年10月~2022年12月
敷地面積:1,328㎡
撮影:山田新治郎
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 外装・屋根 | 屋根 | ガルバリウム鋼板はぜ葺き
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外装・壁 | 外壁 | サイディング
弾性塗剤
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外装・建具 | 開口部 | アルミ樹脂複合サッシ
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内装・床 | 床 | 天然木フローリング
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内装・壁 | 壁 | プラスターボード塗装仕上
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内装・天井 | 天井 | プラスターボード塗装仕上
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外構・床 | 外構 | グリーンブロック
中空樹脂デッキ
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