SHARE 長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・港区の「TOKYO NODE CAFE / TOKYO NODE LAB」。虎ノ門ヒルズ ステーションタワーでの計画。人々の活動を支援するリラックスした創作の場を目指し、“常に変化を受け入れられる様な”場を志向。既存仕上げの剥離等で周囲と対比的な“おおらかな”空間を作る
長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、東京・港区の店舗「TOKYO NODE CAFE / TOKYO NODE LAB」です。
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーでの計画です。建築家は、人々の活動を支援するリラックスした創作の場を目指し、“常に変化を受け入れられる様な”場を志向しました。そして、既存仕上げの剥離等で周囲と対比的な“おおらかな”空間を作りました。施設の場所はこちら(Google Map)。
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは重松象平 / OMA NYの設計で、このエリアに水平方向の移動を生み出す歩行者デッキと垂直方向の活性化を狙う「TOKYO NODE」をつくることで、建物内だけでなく地域全体の回遊性を向上させ賑わいを創出する場所となっている。
TOKYO NODEはビジネスやアート、テクノロジー、エンターテインメントなどを複合させた森ビルの新たな情報発信拠点であり、世界と日本、人と人、領域を超えたさまざまなものをつなぐ結節点「NODE」となることが意図されているが、特に8階はTOKYO NODEとその他のフロア、さらに都市を結ぶもう一つの「NODE」としての役割を期待された場所であった。そのなかで我々が依頼されたのは、TOKYO NODEの活動を支える実験場=ラボを含むカフェの内装設計である。
8階フロアはTOKYO NODEの「玄関」としてレッドカーペットが敷かれ、訪れるゲストを歓迎する設えが計画されていた。一方で我々が設計するラボは、TOKYO NODEの活動を支えるための場所であり、働く人がリラックスしてものを生み出せるような環境が求められたため、建物全体の「仕上がった空間」というより常に変化を受け入れられるような空間をつくることを考えた。またカフェはグランドレベルから離れているため、客席の密度が求められるようなカフェではなく、TOKYO NODEを利用する方々がゆっくりと時間を過ごせることを重視した。
そこで我々は「仕上がった空間」の一部を「剥がす」ことで、緊張感のある空間に対しておおらかさをもった空間を用意した。ここまで敷かれていたレッドカーペットや天井を剥がし、コンクリートおよびOAフロア現し+天井躯体現しと、「剥がされた」後の下地の状態とすることで、これまでの仕上げられた世界からコントラストをつくるように空間をデザインしている。
さらに剥がされたレッドカーペットの要素である「赤」を内装や家具にちりばめていくことで、重松象平 / OMA NYによる空間との関係性ももたせている。また剥がしたとはいえ新築ビルであるため、材料自体はすべて新しいことから、カフェでは手垢のついたバラバラのused椅子を使ったり、席の密度やテーブルの大きさを調整したり、温かみのある素材を用いたりすることで、新築のなかにほっとできる居心地をつくりだすよう工夫した。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
TOKYO NODE CAFEは、虎ノ門ヒルズ駅直結の新たなランドマーク、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの8階に位置する、ラボを併設したカフェである。8階+45~49階を占める複合施設「TOKYO NODE」のエントランスに当たるフロアのなかで、このカフェは超高層タワーの一隅の隠れ家のような居心地のいい場所を目指した。
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは重松象平 / OMA NYの設計で、このエリアに水平方向の移動を生み出す歩行者デッキと垂直方向の活性化を狙う「TOKYO NODE」をつくることで、建物内だけでなく地域全体の回遊性を向上させ賑わいを創出する場所となっている。
TOKYO NODEはビジネスやアート、テクノロジー、エンターテインメントなどを複合させた森ビルの新たな情報発信拠点であり、世界と日本、人と人、領域を超えたさまざまなものをつなぐ結節点「NODE」となることが意図されているが、特に8階はTOKYO NODEとその他のフロア、さらに都市を結ぶもう一つの「NODE」としての役割を期待された場所であった。そのなかで我々が依頼されたのは、TOKYO NODEの活動を支える実験場=ラボを含むカフェの内装設計である。
8階フロアはTOKYO NODEの「玄関」としてレッドカーペットが敷かれ、訪れるゲストを歓迎する設えが計画されていた。一方で我々が設計するラボは、TOKYO NODEの活動を支えるための場所であり、働く人がリラックスしてものを生み出せるような環境が求められたため、建物全体の「仕上がった空間」というより常に変化を受け入れられるような空間をつくることを考えた。またカフェはグランドレベルから離れているため、客席の密度が求められるようなカフェではなく、TOKYO NODEを利用する方々がゆっくりと時間を過ごせることを重視した。
そこで我々は「仕上がった空間」の一部を「剥がす」ことで、緊張感のある空間に対しておおらかさをもった空間を用意した。ここまで敷かれていたレッドカーペットや天井を剥がし、コンクリートおよびOAフロア現し+天井躯体現しと、「剥がされた」後の下地の状態とすることで、これまでの仕上げられた世界からコントラストをつくるように空間をデザインしている。
さらに剥がされたレッドカーペットの要素である「赤」を内装や家具にちりばめていくことで、重松象平 / OMA NYによる空間との関係性ももたせている。また剥がしたとはいえ新築ビルであるため、材料自体はすべて新しいことから、カフェでは手垢のついたバラバラのused椅子を使ったり、席の密度やテーブルの大きさを調整したり、温かみのある素材を用いたりすることで、新築のなかにほっとできる居心地をつくりだすよう工夫した。ラボは常に変化を許容できるように、ポールシステムを用いてエンジニアデスクやパーティションをつくり、使い手がアップデートできる余地を残している。
ビル全体のコンテクストを活かしながら、「剥がす」という行為によってその一部を書き換え崩すことで、TOKYO NODEの玄関としてさまざまな人・ものを結びつける空間を実現している。
(宮下翔多)
■建築概要
題名:TOKYO NODE CAFE / TOKYO NODE LAB
所在地:東京都港区虎ノ門2丁目6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー
主用途:カフェ、オフィス
設計:長坂常 / スキーマ建築計画 担当/宮下翔多 家具担当/上野黄、小見山尚
施工:TANK
階数:地下4階 地上49階建 地上8階部
延床面積:カフェ_251.1㎡、ラボ_230.8㎡
引渡日:2023年10月
オープン:2023年10月
写真:長谷川健太
TOKYO NODE cafe is a cafe with an attached lab located on the 8th floor of Toranomon Hills Station Tower, a new landmark directly connected to Toranomon Hills Station. This floor serves as the entrance to the “TOKYO NODE” complex that occupies the 8th floor and from the 45th through 49th floors of the building. In this context, the cafe was designed to be a cozy place, like a hideaway in a corner of the skyscraper tower.
Toranomon Hills Station Tower was designed by Shohei Shigematsu / OMA NY. The pedestrian deck, which creates horizontal movement in this area, and the “TOKYO NODE,” which aims to activate the area vertically, are designed to improve circulation and create a lively atmosphere in the building and the entire district.
TOKYO NODE is a new information dissemination base for Mori Building that combines business, art, technology, and entertainment. It is intended to be a “NODE” that connects the world and Japan, between people, and across boundaries. We undertook the interior design of a café, including a lab that would support the activities of TOKYO NODE.
The 8th floor was designed as the “entrance” to TOKYO NODE, with a red carpet to welcome guests. On the other hand, the lab we designed would be a place to support TOKYO NODE’s activities, requiring an environment where workers can relax and be creative. Therefore, our idea was to create a space that is always open to change, in contrast to the “finished space” of the entire building. Also, since the cafe is relatively far from the ground level, we focused on offering a place where visitors to TOKYO NODE can spend time at leisure rather than a cafe that requires a high seating density.
Therefore, we created a space with a sense of generosity by peeling off a part of the “finished space” to contrast its tense atmosphere. We peeled off the red carpet and the ceiling to expose the concrete, raised access floor system, and revealed the substrate to create a space that contrasts with the “finished” world before this point.
The red color, an element derived from the red carpet we peeled off, is also used in the interior and furniture, creating a relationship with the space designed by Shohei Shigematsu / OMA NY. Though peeling off has been carried out, the material itself is all new, as this is a newly constructed building, so we used well-used, disparate chairs, varying the density of seating and table sizes and using materials with a sense of warmth to create a relaxing and cozy atmosphere. The lab uses a pole system for engineer’s desks and partitions to accommodate constant change, leaving room for the user to update and modify.
While utilizing the context of the entire building, our act of “peeling off” rewrites and disrupts a part of it, creating a space that serves as the entrance to TOKYO NODE, bringing together various people and things.
(Shota Miyashita)
TOKYO NODE CAFE / TOKYO NODE LAB
Location: Toranomon Hills Station Tower 2-6-2 8F Toranomon, Minatoku, Tokyo
Usage: Cafe, office
Architect: Jo Nagasaka / Schemata Architects
Project team: Shota Miyashita
Furniture team: Ou Ueno, Sho Komiyama
Construction: TANK
Number of stories of the building : 49 floors above ground / 4 floor under ground
Floor where the cafe is located: 8th floor
Floor area: CAFE_251.1㎡、LAB_230.8㎡
Completion: October, 2023
Opening: October, 2023
Photo: Kenta Hasegawa