SHARE トラフと園田慎二による、神奈川・箱根町の「彫刻の森美術館 森の足湯」。“アートと自然が共存する屋外空間”の足湯の改修計画。環境にふさわしい存在を目指し、“美しい山の風景”を望みながら浸かれる空間を考案。15種の“多様な表情の石種”を組合わせた造形で彫刻群との調和も意図
トラフ建築設計事務所と園田慎二建築設計事務所が設計した、神奈川・箱根町の「彫刻の森美術館 森の足湯」です。
“アートと自然が共存する屋外空間”の足湯の改修計画です。建築家は、環境にふさわしい存在を目指し、“美しい山の風景”を望みながら浸かれる空間を考案しました。また、15種の“多様な表情の石種”を組合わせた造形で彫刻群との調和も意図されました。施設の公式サイトはこちら。
日本初の屋外型美術館である彫刻の森美術館の開館55周年を機に、敷地から湧き出る源泉を活用した人気の足湯エリアの改修を行った。日差しを遮る工夫や、混雑の緩和、車椅子での利用や休憩スペースとしての機能を持たせつつ、アートと自然が共存する屋外空間にふさわしい新たな足湯施設が求められた。
彫刻の森美術館の特徴の一つでもある、美しい箱根の山の風景を望みながら足湯に浸かれるよう、以前は芝生広場を向いていた座席を、山側に向けて180度反転することを提案した。湯面には周囲の木々が写り込み、リゾートホテルのような特別な体験ができる。
足湯は、切り出された原石のような量塊感と存在感を持つ、15種の多様な表情の石種を組み合わせた造形で、庭園内の彫刻作品と調和する。美しいストライプを描く大理石「グリーンウェーブ」、自然にできたテラゾーのような花崗岩「ブラックマリナーチェ」など、利用者は好きな石や居場所を発見する楽しさを感じられる。また、足湯と共に手湯も設置し、気軽に楽しめる配慮をした。
石材による足湯の硬質感とは対比的に、大樹の木陰やパラソルが日差しの強い日も利用者の居場所をつくり出し、丸みを帯びたヒバの集成材による座面が、石材との美しいコントラストを成す。また、周辺敷地の造成で地盤面をフラットにし、隣接するカフェや2020年に手掛けた丸太広場キトキとの行き来のしやすさを改善している。
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以下、建築家によるテキストです。
日本初の屋外型美術館である彫刻の森美術館の開館55周年を機に、敷地から湧き出る源泉を活用した人気の足湯エリアの改修を行った。日差しを遮る工夫や、混雑の緩和、車椅子での利用や休憩スペースとしての機能を持たせつつ、アートと自然が共存する屋外空間にふさわしい新たな足湯施設が求められた。
彫刻の森美術館の特徴の一つでもある、美しい箱根の山の風景を望みながら足湯に浸かれるよう、以前は芝生広場を向いていた座席を、山側に向けて180度反転することを提案した。湯面には周囲の木々が写り込み、リゾートホテルのような特別な体験ができる。
足湯は、切り出された原石のような量塊感と存在感を持つ、15種の多様な表情の石種を組み合わせた造形で、庭園内の彫刻作品と調和する。美しいストライプを描く大理石「グリーンウェーブ」、自然にできたテラゾーのような花崗岩「ブラックマリナーチェ」など、利用者は好きな石や居場所を発見する楽しさを感じられる。また、足湯と共に手湯も設置し、気軽に楽しめる配慮をした。
石材による足湯の硬質感とは対比的に、大樹の木陰やパラソルが日差しの強い日も利用者の居場所をつくり出し、丸みを帯びたヒバの集成材による座面が、石材との美しいコントラストを成す。また、周辺敷地の造成で地盤面をフラットにし、隣接するカフェや2020年に手掛けた丸太広場キトキとの行き来のしやすさを改善している。
同施設の緑豊かでおおらかな環境の中で、来館者を癒しながら、アートと水盤の先に広がる箱根の森とをつなぐ場を目指した。
■建築概要
所在・会場:神奈川、箱根
主要用途:足湯
共同設計:園田慎二建築設計事務所
施工:丸要建設、関ヶ原石材、カリモク
サイン:TAKAIYAMA
植栽計画:GAヤマザキ
敷地面積:674㎡
設計期間:2023年8月~2024年7月
施工期間:2024年3月~2024年7月
写真:阿野太一
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
外構・床 | 足湯・床 | 天然石 ニューインペリアルレッド、セルペジャンテベージュ、ブラウンファンタジー、オリーブグリーン、ホワイトサンドストーン、ブラックマリナーチェ、ロッソガズビーラ、ルナパール、暁サラサ、レッドサンドストーン、グリーンウェーブ、ジャッロサンタセシリア、ビアンコスペリオーレ、ジュライエロー(関ケ原石材) |
外構・床 | 足湯・床[水盤・踏み台] | 天然石 ジンバブエ(関ケ原石材) |
外構・床 | 足湯・床[座面] | ヒバ集成材 シリコン系強撥水型塗料(カリモク) |
外構・その他 | 足湯・パラソル | Inumbra[インアンブラ] Large(extremis[エクストレミス]) |
外構・床 | 前面広場・床舗装 | コンクリート洗い出し、シリカ系塗膜剤 アイピーシリカ(インターナショナルペイント) |
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On the occasion of the 55th anniversary of The Hakone Open-Air Museum, Japan’s first open-air art museum, we renovated its popular footbath area, which utilizes the spring water that springs from the grounds. A new footbath facility, which would be appropriate for an outdoor space where art and nature coexist, while also providing a way to block out the sun, alleviating congestion, and functioning as a wheelchair-accessible and rest area, was sought.
We proposed the idea to flip the seats, which previously faced the lawn, 180 degrees toward the mountain side, so that visitors could soak in the footbath while admiring the beautiful Hakone mountain scenery, which is one of the features of the HAKONE OPEN-AIR MUSEUM. The surface of the footbath reflects the surrounding trees, creating a special resort hotel-like experience.
The footbath is formed by a combination of 15 different types of stones with diverse expressions which have the sense of volume and presence like quarried gemstones, and harmonizes with the sculptural works in the garden. Visitors can enjoy the pleasure of discovering their favorite stone and its place, such as the beautifully striped marble “Green Wave” and the naturally formed terrazzo-like granite “Black Marinace”. Handbaths have also been installed alongside the footbaths to make it easier for users to enjoy themselves.
In contrast to the hardness of the stone footbath, the shade of the large tree and parasols provide a place for visitors to stay even on hot sunny days, and the rounded seating surface made of laminated Hiba cypress wood provides a beautiful contrast to the stone. In addition, the surrounding site has been developed to make the ground flat, improving accessibility to the adjacent cafe and the Log Plaza “KI TO KI”, which we worked on in 2020.
The aim was to create a place where visitors can enjoy a relaxing footbath in the lush, serene environment of the footbath facility, while offering a great combination of art and scenic beauty of Hakone forest that spreads out beyond the water basin.
The Hakone Open-Air Museum: Hot Spring Footbath
Principle use: Foot Bath
Design partner: Shingi Sonoda & Associates
Production: Maruyou, SEKISTONE, karimoku
Sign design: TAKAIYAMA
plants: GA Yamazaki
Building site: Hakone Kanagawa
Site area: 674m2
Design period: 2023.08-2024.07
Construction period: 2024.03-2024.07
Photo: Daici Ano