橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、南側より見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、東側より見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋外作業場 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋内作業場、漉き舟 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimura が設計した、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」です。
土砂災害を受けての移転計画です。建築家は、製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案しました。また、柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出しました。工房の公式サイトはこちら 。
名尾手すき和紙は佐賀県名尾の山中で300年以上に渡って営まれていたが、2021年に豪雨による土砂災害に見舞われ、その再発リスクを避けるために麓の平地に移転することになった。この工房はその計画の第1期にあたり、第2期として店舗が隣接して新築される。
原料から紙になるまでのすべての工程がこの工房とその周辺で行われる。原料となる梶の木は近隣の畑で栽培され、大量に必要な清らかな水も地下から汲み上げられる。工房の約半分を占める屋外の作業スペースには原料を水に浸す水槽や蒸し釜があり、屋内では原料の粉砕、紙漉き、乾燥作業などを行う。
製造工程で大量に使用する水から建物を守るため、鉄筋コンクリートの基礎を1.2mまで立ち上げている。上部の木造の架構は、その高い基礎の側面に柱をボルトで固定することで水平力に応える構造である。水平耐力部材から自由になった壁面の上半分は周囲の美しい田園を望む連窓とした。
工房が完成して間もなく、和紙職人たちが先代から受け継ぎ使い馴れた道具を据えたとき、昔からそこに存在していたかのような風景が生まれた。更地に建てられた新しい建物が人と道具に刻まれた時間と融け合い、長い伝統とうまく繋がったことを確認できた。
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橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、南側より見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、東側より見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、北側より見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、南東側より見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、屋根と架構の詳細 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、東側より見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、東側より見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、屋外作業場を見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋外作業場 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、基礎と柱の詳細 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋内作業場、漉き舟 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋内作業場、漉き舟 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋内作業場、漉き舟とプレス機 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋内作業場、乾燥板 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋内作業場、壁と開口部の詳細 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋内作業場から屋外作業場を見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋内作業場から屋外作業場を見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋外作業場 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋外作業場 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 外観、西側から見る。 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 基礎と柱の詳細 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 壁と開口部の詳細 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 基礎と壁の詳細 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 屋根の詳細 photo©Benjamin Hosking
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 平面図 image©Studio Hashimura
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 立面図、断面図 image©Studio Hashimura
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 矩計図 image©Studio Hashimura
橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す 構造模型 photo©Studio Hashimura
以下、建築家によるテキストです。
名尾手すき和紙は佐賀県名尾の山中で300年以上に渡って営まれていたが、2021年に豪雨による土砂災害に見舞われ、その再発リスクを避けるために麓の平地に移転することになった。この工房はその計画の第1期にあたり、第2期として店舗が隣接して新築される。
原料から紙になるまでのすべての工程がこの工房とその周辺で行われる。原料となる梶の木は近隣の畑で栽培され、大量に必要な清らかな水も地下から汲み上げられる。工房の約半分を占める屋外の作業スペースには原料を水に浸す水槽や蒸し釜があり、屋内では原料の粉砕、紙漉き、乾燥作業などを行う。
製造工程で大量に使用する水から建物を守るため、鉄筋コンクリートの基礎を1.2mまで立ち上げている。上部の木造の架構は、その高い基礎の側面に柱をボルトで固定することで水平力に応える構造である。水平耐力部材から自由になった壁面の上半分は周囲の美しい田園を望む連窓とした。
工房が完成して間もなく、和紙職人たちが先代から受け継ぎ使い馴れた道具を据えたとき、昔からそこに存在していたかのような風景が生まれた。更地に建てられた新しい建物が人と道具に刻まれた時間と融け合い、長い伝統とうまく繋がったことを確認できた。
■建築概要
題名:名尾手すき和紙工房
英語名:Nao Washi Paper Mill
所在地:佐賀県市佐賀市大和町
主用途:手すき和紙工房
設計:Studio Hashimura
担当/橋村雄一、桂隼人
構造設計:yasuhirokaneda STRUCTURE
施工:上山建設
構造:木造
階数:地上1階
敷地面積:2112㎡
建築面積:316㎡
設計:2022年6月~2022年11月
工事:2022年12月~2023年4月
竣工:2023年4月
写真:Benjamin Hosking