SHARE 東京オペラシティアートギャラリーで、”都市へ仕掛ける建築 ディーナー&ディーナーの試み”が開催[2009/1/17-3/22]
ノヴァルティス本社屋、バーゼル 2005年竣工 photo© Christian Richters
東京オペラシティアートギャラリーで、”都市へ仕掛ける建築 ディーナー&ディーナーの試み“が開催されます。開催期間は、2009年1月17日[土]―3月22日[日]。詳しい概要は、ページ下部に掲載。
在独スイス大使館、ベルリン 2000年竣工 photo© Christian Richters
以下、展覧会に関するテキストです。
●建築家の視点と思考をたどる展覧会
〈窓から見える風景は、誰がつくるのですか〉
D&Dの設計は、新築・改築・増築を問わず、敷地とそれが位置する都市の声に耳をすますことから始まります。展覧会の第一室、セクション1では、D&Dのこのようなアプローチを体験を通して知って頂くべく、入口で配布されるガイドブックを手に街の中を散策するように各プロジェクトを巡る構成になっています。
会場に並ぶのは、プロジェクトも周辺の街並みもすべて同じ素材(木材)で作られた都市模型。これらは設計時に、それぞれのプロジェクトが「都市の中でいかに自然に、そして効果的に意図が伝えられているか」を検証するために作られるもので、一見どれがD&Dのプロジェクトであるかがわからないようになっています。建築を都市の時間・空間の連続に連なるものと考えるD&Dの基本姿勢を表すものといえるでしょう。
〈古い建物や街並みと、どのようにつきあってゆくのですか〉
意図的に都市の中に埋もれるように建つD&Dの建築ですが、それらは決して寡黙な存在ではありません。都市固有の記憶をたぐり、その現在の活動を読むこと。D&Dの建築はこのような分析の結果をさまざまな形で増幅させ、都市が未来に向かって新たな物語を紡ぎ出すための装置として機能することを目指しています。セクション2では、一見際立つ個性のない「弱い建築」に見える彼らの作品がどのような思考の中で生まれ、さまざまな要素の連環の中で創造的な装置として形を成しているかを探ります。
代表作に数えられる《在独スイス大使館》は、D&Dの設計への姿勢を表す好例です。このプロジェクトは、ヒトラーによるベルリン改造計画と第二次世界大戦の爆撃によって周囲の街並みが一切失われ、長らく陸の孤島となっていたベルリンの旧スイス大使館に改修と増築を施すというものでした。ナチスによる支配、東西冷戦、そして壁崩壊を見つめてきた旧大使館は、空間の背後に潜む歴史や発展の重層的な結実としての都市においてどのような存在となりうるか。そのために導き出された建築的な解答とは。
セクション2では、新築、改築、マスタープランの別をとわず行われるD&Dの分析と提案が、コンペティションにあたって制作される資料の展示によって具体的に紹介されます。大判のブックのページをめくりながら、プロジェクトごとに異なる諸条件への取り組みと、そこに通底する彼らの都市的・建築的な思想を読み取って頂きます。
〈色や素材は、建物と街並みの印象を左右しますか〉
都市との対話の中で創造され、都市の一部となることに自覚的なD&Dの建築は、設計においてプロポーション、そしてそれを形づくる素材も熟考されます。建築の外観をはじめ「目に見える要素」は建築が都市や人との関係を築く際の「表情」となりうること、またそれらがD&Dの建築思想を伝える手段になり、その考察が理念へと返っていくことから、色、素材、プロポーション、そしてディテイルは設計時に徹底的に研究されます。
セクション3で投影される作品写真では全体/部分の両面からD&Dの建築を見ていき、建築が実際の街並みをどのように形成しているかを検証します。またセクション4では、5つの作品に絞って実施設計の過程をたどり、D&Dの設計方法とプロジェクトを具体的に紹介、スタディ模型、モックアップ、さまざまな素材のサンプルが設計図とともに展示されます。
5つの例のひとつ《ノヴァルティス本社屋》は、バーゼルに本拠地を置く世界的な製薬会社の旧工場地区再開発計画にあたって第一棟目として選ばれたものです。その後、ペーター・メルクリ、フランク・ゲーリー、アルヴァロ・シザ、日本からもSANAA、安藤忠雄、谷口吉生、槙文彦ら著名な建築家による棟が発表され、この再開発計画は建築界で大きな話題となりました。D&Dの手掛けた本社屋は、色とりどりのガラスが皮膜となった矩形のランタンのような建築で、素材へのアプローチが秀逸なプロジェクトです。そのガラス20種類から家具のモックアップまで100点以上のサンプル、模型が展示されます。
会場を街に見立て、都市的スケール/身体的スケールの両面からD&Dの建築、その思考をたどる本展は、建築と都市、建築と人、都市と人との関係をあらためて考える機会となることでしょう。
■展覧会概要
展覧会名:都市へ仕掛ける建築 ディーナー&ディーナーの試み
The House and the City: Architecture by Diener & Diener
会期:2009年1月17日[土]―3月22日[日]
会場:東京オペラシティアートギャラリー
開館時間:11:00 – 19:00(1/17を除く金・土は20:00まで/最終入場は閉館30分前まで)
*1/17[土]は展示室内でレクチャー開催のため、19:00に閉館いたします。
休館日:月曜日、2月8日[日](全館休館日)
入場料:一般1000円(800)円/大・高生800(600)円/中・小生600(400)円
* 同時開催「収蔵品展028 難波田龍起・難波田史男」(4F)、
project N 36 原良介」 (4Fコリドール)の入場料を含みます。
* ( )内は15名以上の団体料金。その他、閉館の1時間前より半額、65歳以上半額。
土・日・祝日の中小生無料。障害者手帳をお持ちの方および付添1名は無料。
割引の併用および払い戻しはできません。
お問合せ:03-5353-0756 ウェブサイトURL:http://www.operacity.jp/ag/
主催:財団法人東京オペラシティ文化財団
協賛:NTT都市開発株式会社
後援:スイス大使館
助成:スイス・プロヘルヴェティア文化財団、財団法人朝日新聞文化財団
展示デザイン: ディーナー&ディーナー
[関連企画]
「ウィークエンド・ギャラリートーク」
トーカー=木村浩之[ディーナー&ディーナー 所員]
日時=1月18日[日]14:00―
会場=東京オペラシティアートギャラリー
料金=無料[当日の入場券が必要です]
予約不要[当日の参加状況により、人数制限を行う場合があります]