SHARE プリズミックギャラリーでの”メジロスタジオ展”
プリズミックギャラリーで行われているメジロスタジオの展覧会”メジロスタジオ展“の会場写真とコンセプト文です。この展覧会は2009年12月20日まで行われています。また、展覧会のオープニングパーティが2009年11月7日(土)17時~19時に行われます。
以下、建築家による展覧会についてのテキストです。
メジロスタジオ展
建築をつくるうえで、両義的な状態をつくり出したいと考えている。
それを色に例えるなら、赤や青、黄色といった単色で塗りつぶされているのではなく、色々な色が混ざり合いながらも、ある一定の秩序を保っているような状態なのかもしれない。
そして、それは周辺の環境をさりげなくあぶり出すものであって欲しいと考えている。
-カムフラージュ-アイデンティティ-
東京タワーから見る風景を、「わ~ビルがいっぱい!」と感嘆するのを見て、人々は東京という複雑な街を、「ビル」というシンプルな名前を介して解釈しているのに気がつく。それは、迷彩色という柄が、何通りものバリエーションのある柄なのに、全て「迷彩色」という色の名前を介して認識されるのと似ている。
迷彩色はシンプルなシステムで複雑な状況を生み出していると言えるかもしれない。
「擬態」には、生物が懸命に生きる際に必要となる、知恵とそしてユーモアがあふれている。自らに周りの環境を転写する、そのバイタリティあふれる振る舞いは、環境ごとにアウトプットが違うという意味で、その環境を顕在化していると言えないだろうか。
実情をかっこ入れした暫定的で自由に解釈可能な、’迷彩的多様さ’。
そして現実と格闘し環境を顕在化する、’擬態的したたかさ’。
アノニマスでもあり、イメージを固定する強い個性でもある、その双方を併せ持つような両義的なアイデンティティに可能性を感じている。
展覧会の構成について
今回の展示では模型によって進行中のプロジェクトを、写真(一部映像)によって竣工したプロジェクトを展示している。
進行中のプロジェクトは、いずれは現実の世界へと埋め込まれていくもので、今のまま模型というオブジェであり続けることは無い。その意味で今ここに暫定的なものとして存在している。
一方、竣工したプロジェクトでは、もう既に現実の世界に埋め込まれている、したたかさのようなものが表れている。
竣工写真をディスプレイに写し出し、それをカメラで撮るという作業を繰り返すことで、劣化した映像にこの会場の空気感が徐々に圧縮され、写り込んでいった。結果として、ずるずると手をとり合って繋がり、会場を取り巻く環境を自らに転写しながら私たちの身体、そして模型を取り囲んでいる。
この世界のどこかにもう既に実在している私たちの作品と、この会場とを結びつけるこの試みは、展示物というオブジェが並ぶ展覧会という形式を振舞うことで、これから現実の世界へと生み出されていく私たちの作品を浮かび上がらせている。
■メジロスタジオ展
開催期間:2009年11月1日~12月20日
オープニングパーティ:2009年11月7日(土)17時~19時
詳しくはこちらでご覧ください。