SHARE 乾久美子建築設計事務所による”共愛学園前橋国際大学4号館設計プロポーザル”の最優秀賞案
乾久美子建築設計事務所による”共愛学園前橋国際大学4号館設計プロポーザル“の最優秀賞案です。2010年8月3日に行われた最終審査で乾久美子建築設計事務所が最優秀賞に選ばれました。ここでは、その提案と乾による解説のテキストを紹介します。
2階平面図
1階平面図
断面図
以下、建築家によるテキストです。
学生食堂(大レストラン、カフェ)を中心にした集いの場、メディアセンターや教室などの学びの場という、ふたつの機能を内包する建築です。
私たちは<自然なリズム>をとりいれた建築を提案しました。必要面積から割り出される偶発的な壁柱の配置により、向かいあう部屋同士の関係が多様化します。それにより、小さな部屋と大きな部屋が連結したり、つながり方に選択肢がふえたりと、部屋同士の新しい関係性が生まれるわけです。それぞれの空間の落ち着き(静寂・一人)をのこしたまま他の空間へと自由に連続(にぎわい・みんな)していくように、静寂とにぎわいが両立するような建築を目指しています。
各エリアは大きく「学び」「集い・憩い」に分かれています。さらに、各ゾーンの中もストライプ状に明解にゾーニングされます。同時に向かい合う部屋同士の多様な関係性によって、ゾーニングを超えた重ね使いが可能となっているので、各エリアをダイナミックに補完しあう魅力的な連続性も生まれます。つまり、ゾーニングの独立性と連続性が共存したような建築になっています。
また、シンプルで素なモチーフによって、キリスト教的精神をやわらかく感じさせる場をつくることを考えています。トップライトから降り注ぐ光や、大階段、また壁と床の重なりによる十字架のモチーフなどにより、<めぐみの場所>と感じ取れるイメージを作り出そうとしています。
さらに、計画される4号館とチャペルとの間にオープンスペースをつくることで、オープンスペースと建物の反復という構造を顕在化させる提案をしました。
また、新しい4号館のファサードを明確にキャンパスモール側に向けることで、キャンパスモールにすべての建築の正面が向いているという既存の状態を、継承・発展させることを考えました。