SHARE 布施茂 / fuse-atelier + 武蔵野美術大学 / fuse-studioによる長野の住宅”House in HEKIDA”
布施茂 / fuse-atelier + 武蔵野美術大学 / fuse-studioが設計した長野の住宅”House in HEKIDA”です。
以下、建築家によるテキストです。
House in HEKIDA
この住宅は、長野県北東部の中野市郊外に位置し、東側に北志賀高原の高社山を望む自然に囲まれた地域である。周囲は、旧道沿いの集落とリンゴ畑が広がり、数年後の開通を控える北陸新幹線の高架が畑を南北に縦断している。クライアントは、30代の夫婦と子供の3人家族である。その要望は、隣接して建つ母屋との配置を考慮し、敷地から望む高社山への眺望を積極的に取込むことである。
建物は、既存の庭を母屋とL字に囲うように敷地の南東側に配置をした。眺望が開けている東側は、リンゴ畑が広がり、隣家との距離が十分にあるため、眺望を大きく取込むように全面開口とした。この住宅は、眺望と空間の様々な関係を派生させるため、二つの構成要素によって建物を特徴づけている。ひとつは、建物を貫通するように、GLから屋上へ上がる外部動線であるステップテラス。もうひとつは、それを囲むように回廊状の内部動線に伴って、1階、M2階、2階へと回遊する内部空間である。このステップテラスと回廊状の内部空間は、それぞれがレベルを変えながら立体的にクロスすることで、空間に心地よい距離感を創りだしている。
リビングダイニングは、ステップテラスを挿んで1.2M下げたM2階を段状に配することで、遠景と近景の見え方をコントロールしている。リビングダイニングからの眺望は、M2階の屋根(テラス)越しに遠景の高社山を切り取り、M2階の窓越しに近景のリンゴ畑を切り取るようにした。そして、スラブとステップテラスのズレが、意外な空間の繋がりによる風景を生み、それぞれの空間の場を規定している。
動線を伴う外部空間(ステップデッキ)を立体的に建物へ挿入することで、シークエンスに連動しながら変化する眺望を実現している。この計画は、住宅における動線を多様に設定することで、眺望と空間の新しい関係を試みた提案である。
(布施茂)
■建築概要
建築設計:布施 茂/fuse-atelier +武蔵野美術大学/fuse-studio
(担当=布施 茂、小田内晃彦)
構造設計:鈴木 啓/A.S.A(担当=鈴木 啓、木内礼子)
施工:株式会社 鹿熊組(担当=酒井健司)
設計期間:2008年 4月 〜 2009年12月
施工期間:2010年 4月 〜 2010年12月
敷地面積:404.78m2
建築面積:71.06 m2
延床面積:104.88 m2
規模:地上2階
主体構造:木造(一部鉄骨造)