SHARE 髙田博章+中畑昌之 / htmnによる「三軒茶屋のアパートメント / 三軒長屋」
photo©Daici Ano
髙田博章+中畑昌之 / htmnが設計した「三軒茶屋のアパートメント / 三軒長屋」です。
住戸A-1F。
住戸A-1F。
住戸A-2F。
住戸A-2F。
住戸A-2F void。
住戸A-2F void。
住戸B-2F。
住戸B-2F。
住戸B-2halfF。
住戸B-3F。
住戸C-3F。
住戸C-3F。
以下、建築家によるテキストです。
三軒茶屋のアパートメント / 三軒長屋
三軒茶屋の住宅街の中にある、3戸からなる集合住宅である。
ワンヴォリュームの中に3つの住戸を入れ、各住戸は共用ではない独立したアプローチをもっている。長屋は3つの住戸を立体的に組み合わせ、間取りはそれぞれに異なる。3層の高さのあるヴォリュームに対して、各住戸を平面的に広げていくというよりは、断面方向に空間が連続させている。各住戸にあらわれる空間の斜め上方への視線の抜けは、部屋同士の分節と接続の両義的な性格をもち、領域感を伸縮させ、広がりを感じられる内部空間とした。
この建物は、閑静な住宅地の中の路地上敷地にあり、四周が建て込んでいて過密な状況にある。そこで、建物のフットプリントを少し小さくして周囲の建物から距離をとった。そのため、住宅の四周で風が抜け、全方向に通風や採光などを望むことができ、住宅の各戸に風が流れるよう計画した。また、住宅の中央あたりでも室内から暗くならないようトップライトを配した。
通風や日照をできるかぎり利用することにより、自然エネルギーを最大限活用することを試みている。
一般的に集合住宅というと、あるヴォリュームの一角に暮らしているような状態となってしまうことが多く、その敷地において享受できる環境の一部しか感じることができない。単純なワンヴォリュームといっても、それがその敷地から享受する環境的な要素は、1階、2階、3階の高さや、東西南北などの方位などによって光の入り方や眺望、通風などさまざまで、それは、単純に地面に近いのか、空に近いのかということでも身体的に感じる感覚は異なる。各住戸は、アプローチから居室まで、できるかぎりそうした異なる環境の全てと接することができるよう計画している。そのような意味では、都心部に高密度に暮らすということから導かれた、独立住宅の集合のようなものであり、ヴォリュームの外殻と各戸の界壁を立体的な敷地境界のようにとらえ、住戸同士は、ちょうど立体的なポジとネガのように互いを規定しあうように、それぞれの形状となっている。
住戸A
住戸A2階書斎の壁下半分がガラスになっており、視線は1階リビングを介して、西側の路地が垣間見える。また、トップライトからの光が階段室の壁を照らし、一日を通して、その変化を楽しむことができる。例えば、書斎にいながらも、太陽の動きや、路地の様子が感じられることができ、この集合住宅のコンセプトを最もあらわしている場所といえる。
住戸B
住戸Bは3つのフロアがスキップしたような構成となっている。空間の斜め方向に抜けていく視線によって、異なるレベルのフロアの雰囲気を感じることができる。そのレベルの実際の床の大きさ以上に空間の広がりを感じることができる。また、ひとつながりの住戸内では高い位置から得た光をバウンドさせながら下階まで落とすことによって、暗い2階を明るくすることに成功している。
住戸C
東京の卓越風方向を考慮して、住戸Cは南北方向への抜けを確保し、風通しの良い住戸としている。過密に建て込んだ建物の間隙を縫って、近隣の緑を望むことができる位置に、住戸C玄関へのアプローチの終点を配置した。敷地周辺の環境までも取り込んだシークエンスとしている。
住戸を立体的に構成し、戸建て住宅にはあまり見られない規模のヴォリュームの気積を最大限利用することで、1住戸に様々な環境要素を取り込み、都市に高密度に暮らすということをポジティブにとらえた提案である。
PROJECT INFO
Architects: Hiroaki Takada + Masayuki Nakahata / htmn
Location of project: Setagaya-ku, Tokyo, Japan
Client: private
Completion: 2012.10
Contractor: TH Morioka
Site area: 154.75㎡
Built area: 61.38㎡
Total floor area: 181.36㎡
Structure: Steel construction
Photography: Daici Ano