SHARE 後藤周平建築設計事務所による、静岡県菊川市の住宅「小笠の浮き家」
photo©Takumi Ota
photo©Shuhei Goto
後藤周平建築設計事務所が設計した、静岡県菊川市の住宅「小笠の浮き家」です。グッドデザイン賞2015を受賞した作品です。
木造の1階と2階の間に、鉄骨フレームを挿入し、壁の無い、全方位に開いた開口部を計画した。 その結果、アイレベルのプライバシーには配慮しながら、斜め上部の空へは全方位に視線が抜ける空間が現れた。
大きめの陸屋根の1階から、細い鉄骨の柱で支えられ、セットバックした切妻屋根の2階が浮いている構成は、現代建築のようにも、高床式の伝統的な建築のようにも見える。
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以下、建築家によるテキストです。
地方の田園地帯に建つ住宅である。 田園地帯とはいえ、住宅は街道沿いに密集して建ち並んでいて、その街道から旗竿状に奥まったところに敷地は位置している。 農村部のゆとりある敷地と、一方で全方位に隣地の住宅が建ち並ぶ環境の中で、”周囲からのプライバシーの確保”と、”明るく開放的な空間”という一見相反する条件の住宅が望まれた。 そこで、木造の1階と2階の間に、鉄骨フレームを挿入し、壁の無い、全方位に開いた開口部を計画した。 その結果、アイレベルのプライバシーには配慮しながら、斜め上部の空へは全方位に視線が抜ける空間が現れた。
大きめの陸屋根の1階から、細い鉄骨の柱で支えられ、セットバックした切妻屋根の2階が浮いている構成は、現代建築のようにも、高床式の伝統的な建築のようにも見える。
そのアンバランスで多重的な現れ方が、古い日本家屋と近代的なメロン栽培用の温室が広がる、この地域の風景と馴染んでいるように思えた。古さと新しさ、閉じつつも開くこと、多様な質が同時に立ち現れることに、新たな建築の可能性を感じている。
■建築概要
用途:住宅
所在地:静岡県菊川市
構造:木造一部鉄骨造
敷地面積:651.81m²
建築面積:92.74m²
延床面積:119.65m² (1階79.49m² 2階40.16m²)
工期:2014.8-2015.2
構造設計:金子武史構造設計事務所
写真:太田拓実
後藤周平 / 後藤周平建築設計事務所
1982年静岡県磐田市生まれ。京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科、同大学院博士前期課程修了。中山英之建築設計事務所を経て2012年後藤周平建築設計事務所設立。一級建築士。
2008年京都工芸繊維大学大学院修士設計優秀賞、2015年グッドデザイン賞(小笠の浮き家)。
ウェブサイト:http://shuheigoto.com/