SHARE 小川泰輝+錦織真也 / 小川錦織一級建築士事務所による、愛媛の、農家住宅の台所棟を改修する計画「層をなす下屋の台所」
写真提供:小川錦織一級建築士事務所
小川泰輝+錦織真也 / 小川錦織一級建築士事務所による、愛媛の、農家住宅の台所棟を改修する計画「層をなす下屋の台所」です。
瀬戸内の農家住宅の台所棟を改修する計画。
敷地は、瀬戸内海に注ぐ川の中流に位置する小高い山に囲まれた農村である。周辺には遺跡が点在し、古くから人の営みがあったことがわかる。自然環境と人為的な環境とを地続きに感じるような魅力がある。
台所棟は親世帯棟と子世帯棟の間にあり、2世帯の台所兼リビングダイニングとして使われていたが、天井が低く暗いことが問題になっていた。改修を機に、気積の大きな明るい場所にすること、ひ孫も含めた4世代が集まる場所とすることが求められた。
※以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
層をなす下屋の台所
瀬戸内の農家住宅の台所棟を改修する計画。
敷地は、瀬戸内海に注ぐ川の中流に位置する小高い山に囲まれた農村である。周辺には遺跡が点在し、古くから人の営みがあったことがわかる。自然環境と人為的な環境とを地続きに感じるような魅力がある。
台所棟は親世帯棟と子世帯棟の間にあり、2世帯の台所兼リビングダイニングとして使われていたが、天井が低く暗いことが問題になっていた。改修を機に、気積の大きな明るい場所にすること、ひ孫も含めた4世代が集まる場所とすることが求められた。
平面計画としては、長年使い慣れた台所のレイアウトや作業動線、畑や風呂、トイレへの生活動線を維持し、改修後も違和感なく使えるようにした。
屋根については、改修前の台所棟の屋根周辺が、谷樋の多い、複雑な形状をしていたため、新たな台所棟では、親世帯棟の下屋のような片流れの屋根とすることで、雨仕舞いをシンプルにした。またこの屋根を片持ちで延ばし、親世帯棟に重ねて架けることで、構造としては既存部分と縁を切りつつ、空間としては接続している。屋根の高さは2段階に分け、屋根同士の隙間にハイサイドライトをぐるりと廻し、北から吹く夏の卓越風の通り道とした。補助的な冷房として、井水を利用したファンコイルユニットを設けた。
既存棟に対する下屋の積層としての空間構成を行うことで、雨の流れ、風の流れ、太陽の光に素直な形を与えながら、快適な内部空間をつくることを考えた。この場所に続いてきた風景のような、連続的な環境としての在り方を目指した。
■建築概要
所在地:愛媛県
主要用途:台所
設計:小川錦織一級建築士事務所 / 小川泰輝 錦織真也
構造:黒岩構造設計事ム所 / 黒岩裕樹 小柴摩記
設備:長谷川設備計画 / 長谷川博
照明:大光電機 / 古澤皇枝
施工:富士造型
家具製作:イノウエインダストリィズ
階数:地上1階(改修部分)
延べ床面積:41.6㎡(改修部分)
竣工:2016年9月
写真:小川錦織一級建築士事務所
小川錦織一級建築士事務所 OGAWA NISHIKORI ARCHITECTS
私たちは仙台を拠点に夫婦で活動する建築家ユニットです。プロダクトや家具のような小さなものから、建築、ランドスケープ、アートまで幅広く取り組んでいます。居心地の良さ、楽しさやユーモアの感じられる空間づくりを目指しています。
主な受賞歴
SD レビュー入選 2016,2011/第18回木材活用コンクール第四部門賞/神戸ビエンナーレ2015グリーンアート入選/六甲ミーツ・アート芸術散歩2014兵庫宅建ハトマーク賞/Asia Pasific Interior Design Awards 2013 best 10/グッドデザイン賞2012/JCDデザインアワード2012 100選
小川泰輝(おがわ ひろき)
1982 佐賀県生まれ
2005 九州芸術工科大学芸術工学部環境設計学科卒業
2007 九州大学大学院芸術工学府芸術工学専攻修了
九州大学テクニカルスタッフ、小川和則建築事務所、東北大学研究員、同助手を経て2016年より小川錦織一級建築士事務所共同主宰
錦織真也(にしこり まや)
1976 愛媛県生まれ
2001 東北大学工学部建築学科卒業
2003 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程建築専攻修了
伊東豊雄建築設計事務所、東北大学助手を経て2016年より小川錦織一級建築士事務所共同主宰/現在、宮城学院女子大学非常勤講師、東北工業大学教学アドバイザー