SHARE 木村智彦 / グラムデザイン一級建築士事務所による、鳥取・米子市の「よなご脳神経クリニック」
木村智彦 / グラムデザイン一級建築士事務所が設計した、鳥取・米子市の「よなご脳神経クリニック」です。
敷地は農地が造成された一角であり、川に沿う遊歩道と、小学校正門に至る通学路の角地に位置する。東側隣には薬局、更にその隣に眼科クリニックが並び、共に北側に建物、南側に駐車場という配置で建築が進んでいたため、それら隣地に合わせるかたちで建物と駐車場の配置を決め、一体でまち並みを形成する配置計画とした。
建物の骨格から細部、配置、形態、素材の選定、それらを統合していく作業を入念に行うことで、表出する外観としても均整の取れた建築が実現したと感じる。内外共に視覚的にも触覚にも柔らかさを感じる素材を使い、小学校の通学路や川沿いの遊歩道へも、落ち着いた印象を与える穏やかな建築の佇まいとすることを考え、まちに馴染み、人々の心に残り、地域に長く愛されるクリニックとなることを目指している。
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以下、建築家によるテキストです。
よなご脳神経クリニック
敷地は農地が造成された一角であり、川に沿う遊歩道と、小学校正門に至る通学路の角地に位置する。東側隣には薬局、更にその隣に眼科クリニックが並び、共に北側に建物、南側に駐車場という配置で建築が進んでいたため、それら隣地に合わせるかたちで建物と駐車場の配置を決め、一体でまち並みを形成する配置計画とした。
外壁は杉板下見板貼りは、杉は耐久性のある赤身を使用し、木目を完全に潰さない木材保護塗料であるが、色をグレーとすることでメンテナンスに手が掛からないよう配慮した。屋根はガルバリウム鋼板の竪ハゼ葺き。庇を南面は2,400mm、その他の方位にも1,050mm伸ばしている。内装は、壁と天井はシナ合板貼りの上、白色拭き取りの塗装を基調とし、待合室やリハビリ室の大きな空間とエントランスは一部構造現しとしている。
MRI室やCT室の医療設備に必要な最低限の高さに抑えても、待合室とリハビリ室においては、開口部の高さが約3,500mm必要であった。南面に大開口をつくる木製建具は、天井高さ一杯に設計し、構造現しの杉板を貼った天井が、室内から外部の軒下へと連続して見え、且つ、軸組みを素直に見せることを考えた。
スタッフ動線は主に北側に集中させ、直線上に移動できるように、壁に囲まれる必要のあるCT室、MRI室などの検査部は建物南側の中心部に集中させ、患者動線はそれぞれの部門に待合室から中廊下を介して移動できるよう、合理的な動線と機能的なゾーニングにも配慮している。
また、隣に並ぶ薬局や眼科クリニック、南側にある遊歩道にも街灯が存在しなかったため、このクリニックにも街灯は立てず、暗くなる時間帯には庇を照らし、まち並みにも柔らかな明かりを提供することを考えた。
建物の骨格から細部、配置、形態、素材の選定、それらを統合していく作業を入念に行うことで、表出する外観としても均整の取れた建築が実現したと感じる。内外共に視覚的にも触覚にも柔らかさを感じる素材を使い、小学校の通学路や川沿いの遊歩道へも、落ち着いた印象を与える穏やかな建築の佇まいとすることを考え、まちに馴染み、人々の心に残り、地域に長く愛されるクリニックとなることを目指している。
■建築概要
所在地:鳥取県米子市
構造/規模:木造/平屋建て
延床面積:383.84㎡
設計期間:2016年11月~2017年6月
竣工:2018年3月
設計者:木村智彦 / グラムデザイン一級建築士事務所
施工:株式会社 辻工務店
web:http://gramdesign.biz