SHARE 牛島隆敬建築設計事務所による、神奈川・藤沢市の住宅「辻堂東海岸のK邸」
牛島隆敬建築設計事務所による、神奈川・藤沢市の住宅「辻堂東海岸のK邸」です。
大きなボリュームの内部はスキップフロアで空間を繋げることによって、寝室以外は場所が繋がるように構成した。これらフロアを支える筋交と柱は、水平力を伝えるだけではなく、緩やかに空間を区切ることで開放感の中に落ち着きをもたらす。この一見不合理にも見える表現としての構築物は、自分の家のシンボルとして記憶に残ったり、子供たちの遊び場になったりともなったり、様々なコトを喚起する。
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以下、建築家によるテキストです。
辻堂東海岸のK邸
湘南の海岸から1kmほどに位置する4人家族の木造二階建ての住宅。
施主は周囲に対して閉じることと、家族の間の繋がりを強く求めた。
この地域は古くからの住宅地で似ている形状や面積を持つ土地が多い。海に近く人気のあるエリアでもあるため、次の世代には分割されて敷地が継承される。このことで建蔽率が低く、狭い敷地に建つ多くの住宅が建物のメインボリュームの外側に海のレジャー用の倉庫や広いテラスを加えていることで独特な雰囲気を作り出している。
そこで住宅を家族のための大きなボリュームに補助的機能をもった小さなボリュームを加えることで構成した。このことがこのエリアのメタファーとなり、閉鎖的ながら地域に対して親密性を醸し出す。
外壁はガルバリウム鋼板の小波板を用いることで、住宅地の中でやや無機質な素材を用いた。メインボリュームに対して光沢のあるシルバー色周囲の景色をわずかながら反射させることで周辺の環境に馴染むようにした。そして小さなボリュームには色味をつけることで、少し主張させることで構成を明確にした。
大きなボリュームの内部はスキップフロアで空間を繋げることによって、寝室以外は場所が繋がるように構成した。これらフロアを支える筋交と柱は、水平力を伝えるだけではなく、緩やかに空間を区切ることで開放感の中に落ち着きをもたらす。この一見不合理にも見える表現としての構築物は、自分の家のシンボルとして記憶に残ったり、子供たちの遊び場になったりともなったり、様々なコトを喚起する。
内部仕上げは、抽象的な白い壁に対して、構造材である木の梁と天井を表し、棚や家具などもラワン材で構成することで、ローコストながらも温かみのある素材で空間を作り出した。
この「地域に対して閉鎖的 / 地域のメタファー的な形態」、「繋がりのある/ 緩やかに区切られた」「合理的な機能/不合理な表現」「無機質な素材 / 暖かみのある空間」などの様々な矛盾や対立を内包する寛容な建築こそが今の時代に必要だと考えている。
■建築概要
プロジェクト名:辻堂東海岸のK邸
場所: 神奈川県藤沢市
竣工: 2018年9月
敷地面積 : 123.11㎡
建築面積: 50.44㎡
延べ床面積: 93.29㎡
構造・規模: 木造二階
用途: 専用住宅
構造:木村佳央建築構造設計室
写真:見学友宙
施工:下川工務店
牛島隆敬建築設計事務所
牛島隆敬
Website:http://usjm-arch.com/
e-mail:info@usjm-arch.com