玉上貴人 / タカトタマガミデザインによる、埼玉の、大型賃貸型物流施設の託児所・休憩ラウンジ・売店「ESR久喜DC KLÜBB エリア」です。本体設計は熊谷組です。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
eコマース市場の急成長により通販会社や運送会社をはじめメーカー等様々な業態をターゲットとした大型賃貸型物流施設の開発が各地で進んでいる。これまで数々の物流不動産を開発してきたクライアントは効率重視、物中心の施設づくりから舵を切り、「HUMAN CENTRIC DESIGN」の理念を掲げた。新規開発する大型施設には人に優しい快適な労働環境を整備を進めており「KLÜBBエリア」という名でブランディングしている。
我々は初期からこの「KLÜBBエリア」の設計を手がけており、5棟目となるこのESR久喜DCでは託児所、売店および休憩ラウンジ、そしてエントランスホールのデザインを手がけた。
子供のころ雲の形をみては動物や様々なものにになぞらえたりした。休憩ラウンジではそんな利用者の心をくすぐるような不定形の孔を穿った壁を図書館の本棚のように並列させ、それらをカットアウトウォールを名付けた。人は遠近を観察対象が移動することによって生じる視差をもとに把握するが、カットアウトウォールの複数の連続した孔を通して見える像が挙動するとき、つまり視差が起こるとき、利用者は自らが運動していることに知覚的になる。歩けど歩けど風景が変わらない広大な敷地,閉鎖的な物流施設では,こうした動的な仕掛けがヒューマンスケールに返り安堵や心地よさを感じるキッカケになると考えた。この視差の仕掛けはエントランスホールでも矩形の孔を連続させるかたちでデザインしている。
託児所は日照が期待できない北東1階に位置する為、天空光を少しでも取り込むよう傾斜壁をテラスに設け反射光を室内へ導くようにした。朝の僅かな時間は直射光が傾斜壁に影をおとし、時間の移ろいを視覚化する。テラス床と連続した人工芝の傾斜壁は駆け登りたい衝動をくすぐり、起伏のある室内もまた運動を促す。これらもまた子供達の好奇心に訴え、冒険心や身体能力を育む動的な仕掛けとなっている。
■建築概要
物件名:ESR久喜DC KLÜBB エリア
所在地:埼玉県久喜市
工事種別:内装、外装、外構工事(新築工事の共用部)
設計協力:Architectural Design Office 【hyphen】
本体設計:熊谷組
施工:熊谷組
主要用途:託児所、休憩ラウンジ、売店、エントランス
敷地面積:81,159.30m2
床面積(託児所) 122.65m2
床面積(ラウンジ) 353.34m2
(本体延床面積 ) 145,990m2
構造:鉄骨造
規模:地上4階
竣工:2018/9/28