久米貴大+チャンヴィタン・ワタンヤ / Bangkok Tokyo Architectureによる、タイ・バンコクの住宅を改修したヘアサロン「Rikyu by boy Tokyo」です。
間に建つ
この建築は都市の中心に位置し、高層マンションが建ち並ぶ街区の中に取り残されたように建っていた住宅をヘアサロンに改修したものである。
既存建物は緑豊かな庭の中に建つ、三世帯の家族が住む二階建ての住宅であった。この計画が始まったとき、たくさんの部屋を解体し、建物を輪郭に戻すことで豊かな環境の間にもう一度建築を位置付け直すことを考えた。基本的な構成は中央に二階建てのコアがあり、その周りに大きな屋根をかけ、軒下のような一階部分が取り付くワンルーム空間である。一階部分の屋根は全て新しくかけ直している。また、一階部分の外壁は既存の構造からオフセットするように増築している。屋根と外壁、既存部分はそれぞれ隙間を作りながら開いた輪郭を形作っている。隙間からはたくさんの光や緑豊かな風景が入り込み、鏡と床に反射して、内部は常に外部と同じくらい明るい。また開口部は新設、既存利用、前店舗から移設したものが混在している。様々な時間・意味とズレをもつ複雑な外形はワンルームの内部に多様な場所を作り出す。
異なる環境の間に建築を位置付けることで、それぞれが相互に補完し合うものとして同時に存在するための媒介としての建築を目指した。