田根剛・中川エリカ・髙橋一平・横内敏人の作品が紹介される『TOTO通信 2019年夏号 特集:借景 家のまわりも家の中』のオンライン版が公開されています。サイト全体がリニューアルされていて実際の紙面のデジタルブック版も閲覧できるようになっています。
円通寺の縁側から、庭の垣根越しに比叡山が見える風景のように、昔から借景は、建築の質を上げてきた。それは現代の住宅にとっても同じだろう。周囲の景観を取り込めば、単体の魅力だけでなく、その土地の力を得た建築になるのではないか。しかし、どこにでも借景たりうる豊かな自然があるわけではない。自然があったとしても、それを取り込むには工夫が必要なこともある。
一方で、街中だからといって内に閉じこもらない、開かれた住宅が求められている。せっかく開くのならば、借景を取り込みたい。では、何を借景と見立てるのか。山や海のみならず、空か、地面か、あるいは隣家の壁か。借景の力をあらためて振り返るとともに、その現代的な工夫に注目していく。