藤原・室 建築設計事務所が設計した、大阪の住宅「此花の平屋」です。
大阪市の下町に位置するこの建築は、比較的大きな敷地でのご依頼でしたが、将来的に貸し駐車場にもできる自動車3台分のスペースを確保したいという要望があり、この貸し駐車場という「公」の領域と住宅という「私」の領域をいかにして分けるかが大きなテーマでした。
また一方で、隣地や前面道路といった「外」の領域と敷地という「内」の領域をどう分けるかもこういった比較的大きな敷地では普遍的に存在します。
通常、こういった領域を分ける手段として塀が用いられます。
大阪下町の街並みにもそういった「公」と「私」、「外」と「内」を分ける塀が無数にあります。
こういった街並みを形成する塀をより魅力的にできないものかということは、私たちのテーマの一つでもあります。「公」と「私」、「外」と「内」を厳格に分断するのではなく、柔らかく領域を分節し、時に視線を遮り、時に人を招き入れるような、そういった魅力的な柔らかい境界線となる「塀」を目指しました。