牧野研造建築設計事務所が設計した、京都府の「松井アーキメタル舞鶴工場」です。
一般に、工場建築は厳しい予算管理が必要となるが、経済性を高めながら、それと異なった価値基準である、意味性を高めることを同時実現しようと考えた。
使用材料の選定から、スパンや階高、下地ピッチの綿密な調整といった定量的なコントロールと、光や風といった外部環境と作業に適した安全な内部環境を調停する定性的なコントロール、この二つは物理的、客観的な判断基準によってなされるが、それらと矛盾させずに、私たちの工場は唯一の価値を持つ、と思えるような精神的、主観的な豊かさを重ね合わせたい、ただ役に立つものであることを乗り越えたいと考えた。その具体的方法として、経営者や職員が取引先や来客に対して、製造環境や製品の良さをプレゼンテーションできる動線を忍ばせることで、この工場に意味的価値を持たせようとしている。言い換えれば、工場であり展示場でもある建築を設計しようとした。