岡田一樹 / R.E.A.D. & Architectsが設計した、長野の住宅「軽井沢のセカンドライフハウス」です。
仕事をリタイアする夫婦が、南軽井沢という地で第2の人生を再スタートさせるための住宅の計画である。夫婦が避暑や週末を過ごし、家族やゲストが集い、夫婦の終の住処として機能した後、次世代へと渡すことを前提としている。
人生100年時代のセカンドライフとは。日本古来の「共生」という生き方をヒントに、夫婦の暮らしに寄り添う家を考えた。
計画地は、モミの高木に囲まれ、浅間山への眺望が広がる別荘地の一角にある。南東のモミの高木の緑陰、南西に広がる木立の奥行、北東に見える山の稜線、北西に遠く望む浅間山。計画地に立った時、景観が方位ごとに異なり、様々な緑に抱かれた環境であることを強く感じた。そこで私たちは、この緑豊かな周辺環境と東西に長い敷地形状を活かし、軽井沢らしい景観を創出すると同時に、建物の中を歩く中で移り変わるように現れる四季折々の庭々に囲まれた住環境にしたいと考えた。
まず、長い敷地形状に沿って夫婦が暮らすメイン棟とゲストが過ごすゲスト棟の2棟を配置し、それらを回廊がつなぐ構成とし、回廊と部屋の開口部に面して景観の異なる複数の庭を配置した。外観は周囲の山並みと調和するコンクリートの勾配屋根とし、南側の森や庭への眺望と採光を確保しつつ、北側の隣地に対しては控えめな佇まいとした。コンクリート打放しの大屋根の内部は、夫婦の距離感を適度に保てる伸びやかで天井の高い空間としている。