鈴木亜生 / ASEI建築設計事務所が設計した、神奈川・三浦市の、集合住宅の一室のフルリノベーション「LOAM/海」です。
都心から電車で1時間ほどにある神奈川県三浦海岸のマンション一室のフルリノベーション。施主は都心を離れ、三浦海岸の自然豊かな環境に惹かれ、海が見渡せるこの部屋を購入した。
都心マンションに多い環境から自立した空間リノベーションとは違い、マンションの一室であっても三浦の自然環境との連関のなかに在ると感じられる場を目指した。
しかし、海が目の前に拡がるからといって安易に開放的にはできない。海からの潮風は多湿で結露やそれに伴うカビ、塩害などの問題があるからである。
そこで三浦海岸の自然環境をリサーチすることから始めた。まず、三浦半島南部一帯は隆起によってつくられた海岸段丘(海食台)の地形でできている。海底が隆起して陸になった後(約9万年前)、箱根火山や富士山の火山灰が陸の上に堆積し関東ローム層を形成した
この関東ロームという地域資源に着目した。関東ロームは、断熱性・蓄熱性が高く、多孔質な団粒構造は高い吸放湿特性がある。
これらの特性を活かし関東ロームを配合して、新しく「関東ローム煉瓦」を製造業者との共同で開発した。一般の煉瓦にはない地層のような土のテクスチャを備えたものになった。