
757.82 光本直人+濱名直子 / ミハデザインによる、東京・杉並区の住宅「nt 2020-」



光本直人+濱名直子 / ミハデザインが設計した、東京・杉並区の住宅「nt 2020-」です。
東京都杉並区 中央線沿線駅から続く商店街の賑わいが落ち着き、大通りから枝分かれした小道に面する敷地に建つ夫婦と子、3人家族の住宅である。
周辺は昔からの世帯に新しい世帯が混じり、建物が更新されるのと同時に少しずつコミュニティも変化しながら、通りに暮らしの様子がにじみ出て穏やかな日常の風景を作り出している。
敷地は数軒の戸建て分譲の宅地割りの1つで、大通りからの距離に応じて用途地域が敷地を分断し、道路側2M程度は低層住居専用地域、奥が商業地域となっている。そのため、必要なボリュームを確保しようとすると、用途地域に応じた北側斜線がボリュームを切り取る形で手前が2層、奥が3層となり、並んだ建物がほぼ同様の外形となって通りのファサードを形成する。
また南側は隣地の北側斜線によって空いた3階からのみ光が得られる。1、2階では直射光を取り入れるのは困難で、3階は斜線に切られるために十分な床が確保できず、その結果、リビングやダイニングなどの主室は自然と2階となり、これも並んだ住宅同様のプログラムとなることが予想される。異なるのは建て主が車を所有していないため、大抵は車庫となる1階の部分を他の用途にあてることが可能であったことだ。
「お祭りの時にはかき氷などをふるまえたら良いな」という近所のコミュニティとの関わりに積極的な建て主の気持ちもあり、1階の道路に面した部分は用途を限定しない大きな土間のエントランスとし、すべて開け放てることも出来る建具を設置して通りと繋げられるようにした。