デイビッド・チッパーフィールド・アーキテクツが設計した、アメリカ・ニューヨークの集合住宅「11-19 Jane Street」です。周辺環境のコンテクストや内部の住戸タイプとも関連する繊細なデザインのファサードが特徴的な建築です。
以下は、建築家によるテキストの翻訳です
グリニッジ・ビレッジ歴史地区の北西端に位置するジェーン・ストリートは、主に19世紀と20世紀に建てられた赤レンガのタウンハウスと大きなアパートが混在しているのが特徴です。この新しいアパートメントビルは、1920年代に2階建ての駐車場があった場所に建てられました。6階建てのこの建物は、地下駐車場、メゾネット式タウンハウス、ワンフロアを使用したアパートメント、ペントハウスで構成されています。周囲の構造物の大きさの違いを調整しながら、挿入されたボリュームは、通りのスケールを尊重すると同時に、その建築的背景を反映しています。
通りから見える5階建ての部分は、周辺のレンガ造りのタウンハウスを現代風にアレンジしたもので、ベース、ミドル、クラウンの明確な分節を持っています。エントランスのスケール、窓のリズム、マリオンやストリングコース(建物の外壁にある水平な装飾的な帯)の使用は、ウェストビレッジの豊かでドメスティックな建築を参考にしています。また、ファサードの色や素材にも地元のコンテクストが反映されています。
建物は左右対称の構成で、タウンハウスのエントランスは1階の両端のくぼみにあります。中央にはアパートメントとガレージのための大きなダブルエントランスがあります。窓のデザインは、住宅の構成要素ごとに異なります。例えば、メゾネット式タウンハウスにはバルコニー付きのフランス窓があり、2層あるワンフロアを使用したアパートメントにはコンクリートのマリオンで仕切られた広い開口部があります。
最上階のペントハウスは天井が高く、通りから離れています。柱と梁だけのシンプルな構造で、大きな窓からはプライベートガーデンが見渡せるようになっています。
1階部分には赤い顔料を使ったコンクリートが使用されており、彫刻のような強い存在感を放っています。上階はローマン・ブリックで覆われており、ストリングコース、リンテル(まぐさ)、マリオンは同じ赤のコンクリートで、全体に微妙な色の変化を与えています。通りの正面は、突き出たコーニスで覆われています。このコーニスは、1階と2階の間にある突起したストリングコースに呼応しており、ファサードに特別な影と分節を与えています。
屋外にはブロンズの手すりや窓やドアのフレーム、共用部にはテラゾーの床など、抑制されながらも堅実な素材が随所に使われています。タウンハウスとアパートメントには、カッラーラ大理石とナチュラルオークの床が採用されています。ルーフテラスとリアガーデンは、ベルギーのランドスケープアーキテクトであるピーター・ヴィルツによってデザインされ、すべてのアパートメントが自然とのつながりを持てるようになっています。