田中裕之建築設計事務所が設計した、東京・大田区の、既存建物を改修したリコーの実践型研究所「3L」です。元体育館をミーティング等の空間に転用し、そこから各個室が一望できる設計とする事により社内活動の活発化が意図されました。施設の公式サイトはこちら。
株式会社リコーの実践型研究所「3L」である。
新規プロジェクトなど新しい取り組みにリコー社員が没頭でき、社内外のコラボレーションを促進できる雰囲気を持った空間が求められた。創業の地でもある東京都大田区にはリコー本社があり、現在はリコー創業者が設立した「市村清新技術財団」が置かれている創業者の邸宅も隣接してあるなど、古くからリコーはこの地域からスタートしてグローバル企業として飛躍をしていったと言える。
もともと48条ただし書を受けた建物であり、住宅地に建っている。
そのためにリノベーションをした新しい建物として、劇的に変化したという外観を持つことはせず、住宅地ということを踏まえた外構や植栽の充実と、新しい内部プランに対応するような開口部プロポーションの整理、アプローチの変更に伴うエントランスの変更をするにとどめ、慎ましやかさや控えめな佇まいを残したものにすることを目指した。
一方、建物内部での活動を支える空間については、社員が自由に、そして活発に活動できることを目指した。
さらにいうと、個々の活動が活発になるだけでなく、それらが連続して社員間で繋がっていき、拡がっていくということの重要性がコンペ段階から指摘されていた。既存建物の特徴として、体育館(以下、BOX)として使われている大きな空間があることもあり、上記の重要性に対する回答として、まずここに活動が一望できる新たな内部化した立面を作ることを提案した。そのことによって別棟のBOX側立面に個室のプロジェクトルームを配置し、そこでの活動がBOXから一望できるようになった。