古森弘一建築設計事務所が設計した、福岡・北九州市の住宅「方眼の間」です。構想をもった施主家族と設計者が議論しながら設計する為に、共通ルールとして三尺方眼を天井に可視化し、在来工法の延長に成立させる事で将来的な増改築も考慮されました。
「いくつかの案を考えてみました。」
最初の打ち合わせで建主夫妻から方眼紙に描かれたいくつかの平面図を受け取りこのプロジェクトは始まった。
その平面図を詳しく説明してもらうと家族4人で議論を重ねた楽しそうな痕跡が散見されたため、極力その想いを実現したいと考えた。
かつて住宅の間取りは建主と大工が三尺のモジュールをルールに作り上げてきたと聞く。しかし、現代の住宅では畳がなくなりその寸法体系がなくなったため、施主と専門家がやりとりしながら設計する共通のルールがなくなった。
設計の議論を進めやすくするために、三尺の方眼を天井に可視化することを提案した。その方眼上に自由に柱や壁を配置すれば、どんな平面でも可能であることを伝えた。その天井の方眼を構成する格子梁は特殊な技術や金物を用いることなく、在来工法の延長に成立させている。分かりやすい構法を確立することで、将来増改築の際に一般的な大工さんでも改修を可能にしている。