TAB / 河合啓吾が設計・施工した、岐阜・各務原市の住宅「SLBH6」です。設計者が継続的に取り組む低費用で大空間をつくる作品群として計画、住人も施工に関わる方式で総工費税別1600万で建設が可能になると共に、“建築の当事者”になることで“つくり上げる喜び”も生み出します。
敷地は比較的古く(1960~70年代)からある住宅地。使える敷地面積は140m2程度とこの辺りでは少し小さい。
母屋・既存庭との関係、北側の隣家への配慮、周囲からのプライバシーの確保、内部への陽光から、建物は母屋に対して23度振って配置した。建物へのアクセスは母屋の東側(3m程度)を通り、少し振られた入り口の土間が来訪者を迎え入れる。
構造・構成は1間グリット(規則性)を基本とし、21本の通し柱のうち外周の柱はグリットからズラし、中央の柱を45度振り、同じ階高(2,005mm)の3層を積み上げた。
1層目はGLと地続きの土間をもち、洗濯干しや登山道具などの倉庫、また庭の延長として、周辺環境やコミュニティとのインターフェースとして働く半屋内外空間を配置した。2層目は窓をもたず、周囲と物理的距離を取り、安心感のある生活の場である。3層目は360度の開口をもち、風景・光・風を取り込むバッファーとし、仮設的な床をのせ容易に生活の場を拡張することができる。
職人、私、住人が施工する場合、それぞれの質が変わらないように施工方法を設計している。DIYの前提は、価格を抑えるため、思い出づくりのために行うのではなく、家づくりの当事者になるために行っている。3者(職人・私・住人)に合わせて施工方法を設計することで、職人よりも住人の方が上手くつくることができる部分も出てくる。
現在は職人ゆえに制作可能な高度なパーツも、将来的にはデジタルファブリケーションに置き換えられ、プレカット+デジファブと施工方法の設計、各要素の分離によって多くの部分をDIYでつくることができるのではないかと考えている。