佐賀大学理工学部4号館改修ワーキンググループ / 三島伸雄・平瀬有人・宮原真美子・中大窪千晶・後藤隆太郎と佐賀大学環境施設部の設計監修、あい設計建築設計による、佐賀市の「佐賀大学理工学部4号館改修」です。施設老朽に伴い建築系教員が設計に関わり計画開始、既存の枠を越え様々な型の授業に対応する教育環境空間を構想、加えて構造設備を可視化する“校舎の教材化”によって実践的な教育研究を可能としました。大学の公式サイトはこちら。
佐賀大学理工学部4号館は長らく土木・建築系の校舎として使われてきたが、築35年(1984年竣工)を経て老朽化が著しかったため、2020年度に改修工事が行われた。
改修にあたり、従来いくつかの棟に分散していた建築系教育研究拠点を集約するなど、全体的な空間再編を行っている。さらに、地域に根ざした教育研究拠点となるよう、地域連携による美術家・野老朝雄氏の有田焼陶板作品の常設された、外部に開かれたデザインギャラリーを1階に整備した。
デザインギャラリーと隣接する建築系デザインスタジオを一体的な空間とし、アクティブ・ラーニングやプレゼンテーションなど用途に応じてビニル間仕切りでフレキシブルに利用可能な計画である。デザインギャラリーは建具を全開放することで外部テラス・北側レストランと一体的に利用でき、多様な学生の学びの姿が外に発信されることで地域の人びとを誘引した様々な交流のきっかけをつくりだす。
さらに校舎の教材化・見える化により実践的な教育研究を可能にした。スケルトン天井により既存躯体構造の劣化補修部分や空調・電気設備配管等を可視化し、サインを付加して、建築を学ぶ学生の生きた教材として活用している。外観も、浮きのあるタイル劣化部分をあえて素材の異なるタイルで補修し、オーセンティックな改修を可視化している。