木下昌大 / KINO architectsによる、福岡の「福岡市平尾霊園合葬式墓所」。死生観等の変化に沿った新たな形態の公共墓地、特定の宗教観を避け故人を偲ぶ場とすべく敷地の山の力を借りる計画を考案、山裾の献花台を取り囲む円弧状壁が追悼の為の非日常をつくる

162.39 木下昌大 / KINO architectsによる、福岡の「福岡市平尾霊園合葬式墓所」。死生観等の変化に沿った新たな形態の公共墓地、特定の宗教観を避け故人を偲ぶ場とすべく敷地の山の力を借りる計画を考案、山裾の献花台を取り囲む円弧状壁が追悼の為の非日常をつくる

木下昌大 / KINO architectsによる、福岡の「福岡市平尾霊園合葬式墓所」。死生観等の変化に沿った新たな形態の公共墓地、特定の宗教観を避け故人を偲ぶ場とすべく敷地の山の力を借りる計画を考案、山裾の献花台を取り囲む円弧状壁が追悼の為の非日常をつくる photo©中村絵
木下昌大 / KINO architectsによる、福岡の「福岡市平尾霊園合葬式墓所」。死生観等の変化に沿った新たな形態の公共墓地、特定の宗教観を避け故人を偲ぶ場とすべく敷地の山の力を借りる計画を考案、山裾の献花台を取り囲む円弧状壁が追悼の為の非日常をつくる photo©中村絵
木下昌大 / KINO architectsによる、福岡の「福岡市平尾霊園合葬式墓所」。死生観等の変化に沿った新たな形態の公共墓地、特定の宗教観を避け故人を偲ぶ場とすべく敷地の山の力を借りる計画を考案、山裾の献花台を取り囲む円弧状壁が追悼の為の非日常をつくる photo©中村絵

木下昌大 / KINO architectsが設計した、福岡の「福岡市平尾霊園合葬式墓所」です。死生観等の変化に沿った新たな形態の公共墓地、特定の宗教観を避け故人を偲ぶ場とすべく敷地の山の力を借りる計画を考案、山裾の献花台を取り囲む円弧状壁が追悼の為の非日常をつくります。

少子高齢化や核家族化、死生観の変化により、新たな形態の墓地を求めるニーズが高まり、福岡市が平尾霊園内に整備した合葬式墓所。
2019年に行われた建築設計プロポーザルにおいて、キノアーキテクツが一等に選ばれ、2021年4月から墓所の運用が始まりました。

建築家によるテキストより

プロポーザルの初期段階から心がけていたことは、さまざまな立場の人が利用する公共墓所であるため、特定の宗教観を現すデザインを避けるということ。一方で、お墓はきわめてプライベートな場でもあります。誰もが公平に利用できながら、個々の思い入れを抱ける場所。公共性がありながら、プライベートな場所。特定多数のお墓であり、遺された人々の祈りの場所。これら表裏の関係性を解くために、山の力を借りることにしました。

建築家によるテキストより

かつて、平尾霊園を造成するために山々が削られました。
今回の合葬式墓所の建設にあたり、その緑を修復するように山裾をのばし、その下に埋蔵室を埋めることを提案しました。

故人は山々に抱かれながら眠り、訪れた人々は山裾に設けた献花台に花を手向けます。その献花台を円弧状の休憩所が囲み、故人を偲ぶための非日常の場になります。

建築家によるテキストより
森下陽 amp/アンプ建築設計事務所による、静岡・浜松市の「仏壇仏具店 迦葉」。国道沿いの敷地で道からの視認性向上と入りやすさの要望に、駐車場を奥に確保した上で建物間口を最大限広くし道路側に配置して前面を緑化、小屋組表しのおおらかな内部空間で気軽さと安心感を与える

433.04 森下陽 amp/アンプ建築設計事務所による、静岡・浜松市の「仏壇仏具店 迦葉」。国道沿いの敷地で道からの視認性向上と入りやすさの要望に、駐車場を奥に確保した上で建物間口を最大限広くし道路側に配置して前面を緑化、小屋組表しのおおらかな内部空間で気軽さと安心感を与える

森下陽 amp/アンプ建築設計事務所による、静岡・浜松市の「仏壇仏具店 迦葉」。国道沿いの敷地で道からの視認性向上と入りやすさの要望に、駐車場を奥に確保した上で建物間口を最大限広くし道路側に配置して前面を緑化、小屋組表しのおおらかな内部空間で気軽さと安心感を与える photo©長谷川健太
森下陽 amp/アンプ建築設計事務所による、静岡・浜松市の「仏壇仏具店 迦葉」。国道沿いの敷地で道からの視認性向上と入りやすさの要望に、駐車場を奥に確保した上で建物間口を最大限広くし道路側に配置して前面を緑化、小屋組表しのおおらかな内部空間で気軽さと安心感を与える photo©長谷川健太
森下陽 amp/アンプ建築設計事務所による、静岡・浜松市の「仏壇仏具店 迦葉」。国道沿いの敷地で道からの視認性向上と入りやすさの要望に、駐車場を奥に確保した上で建物間口を最大限広くし道路側に配置して前面を緑化、小屋組表しのおおらかな内部空間で気軽さと安心感を与える photo©長谷川健太

森下陽 amp/アンプ建築設計事務所が設計した、静岡・浜松市の「仏壇仏具店 迦葉」です。国道沿いの敷地で道からの視認性向上と入りやすさの要望に、駐車場を奥に確保した上で建物間口を最大限広くし道路側に配置して前面を緑化、小屋組表しのおおらかな内部空間で気軽さと安心感を与える事が意図されました。店舗の公式サイトはこちら

敷地は近隣の生活主要道路であり、日常的に渋滞も起こる駅へとつながる国道に面している。
この場所で創業から約20年営業してきた仏壇、仏具、墓石を扱う店舗の建替え計画である。

建築家によるテキストより

既存の店舗は別の業態の店舗を引き継いだものであり、道路に対して間口が狭く2階建てであったため外部から中を窺い知ることが難しい建物であった。またフロアの面積が限られていたため仏壇の展示は2階となり、店舗空間が分断されている状況でもあった。

建替えにあたりクライアントからは、道路側からの視認性の向上と従来の様な重厚な構えでなく暖かみのある入りやすいお店、店舗部分をワンフロアにまとめることが求められた。それに加え前面道路である国道は計画道路となっているため、将来を見越し、セットバックする必要があった。

建築家によるテキストより

まずは展示する商品の本数や種類、陳列方法により建物の大まかなヴォリュームを決定した。
そして建物の間口を出来る限り広くとれるよう調整し道路側に配置、奥にメインの駐車スペースを確保し、墓石スペースを設けたうえでセットバックが必要な道路沿いを近隣のような駐車場ではなく緑地帯として開放した。

大きな切妻屋根で覆われた内部は、天井が高く開放的な仏具スペースと天井を低く抑え実際のスケール感覚と合わせた仏壇スペースに分けた。今後のレイアウトの変更にも対応出来るよう、日本民家の小屋組のような矩勾配の切妻屋根を利用してトラスを組み柱を規則的に配置した可変性の高い空間とした。小屋空間の半分は仏具スペース上部の吹抜け、もう半分は2階としてイベント空間と倉庫になっている。

建築家によるテキストより
村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第1回「コストとレギュレーション」

2,335.94 村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第1回「コストとレギュレーション」

村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第1回「コストとレギュレーション」

「今、なに考えて建築つくってる?」は、建築家の村山徹と杉山幸一郎によるリレー形式のエッセイ連載です。彼ら自身が、切実に向き合っている問題や、実践者だからこその気づきや思考を読者の皆さんと共有したいと思い企画されました。この企画のはじまりや趣旨については第0回「イントロダクション」にて紹介しています。今まさに建築人生の真っただ中にいる二人の紡ぐ言葉を通して、改めてこの時代に建築に取り組むという事を再考して頂ければ幸いです。
(アーキテクチャーフォト編集部)


第1回 コストとレギュレーション

text:村山徹

 
 
僕がエッセイを書こうと思った訳

みなさん、こんにちは。これから杉山幸一郎さんとリレー形式でエッセイを書くことになりました。ムトカ建築事務所の村山徹です。どうぞよろしくお願いします。

まず簡単に僕の自己紹介と、なぜこのようなエッセイを書こうと思ったかをお話しておきます。僕は1978年生まれの43歳で、建築家としては中堅に入りつつある世代になります。学生時代に見た雑誌に掲載されていた建築家すごろくのように、学部、大学院を経て、アトリエ事務所で修行して独立、大学でも教えているという建築家人生を辿っています。

2000年頃の僕が学生の時はこのルートが一般的で、ネットもそれほど発達していなかったこともあり、井の中の蛙のごとく迷うことなくこの道をめざしました。でも、もし今自分が学生だったら、卒業設計日本一決定戦や建築新人戦などの学生コンテストやSNSで視覚化される優秀な学生や作品に触れて怖気付いて独立してのびのび建築を考え楽しむことができなかったかもしれない、と思ったりしています。たぶんそんな学生や若い人も多いのではないでしょうか。

今の日本の建築界の状況は、みなさんには明るく見えていないのではないかと思います。バジェットの下降に反比例して建築コストは上がり、レギュレーションもどんどん厳しくなり、一方でサステイナブルやコモンの正しさが求められ、挙句の果てにプログラムからその事業性まで設計しなくてはいけない。

一見すると窮屈で学生時代のように真っ直ぐに建築をつくれる状況ではないように思われるかもしれません。ですが、そんな状況の中でも、自身が理想とする建築をつくる方法はあるはずで、その方法をこのエッセイで自分なりにも見つけていければ幸いですし、みなさんの気づきやヒントになればなお嬉しいと思います。

もう一点、今回のエッセイでは、スイスを拠点に設計活動をしている杉山幸一郎さんとご一緒できるということも、ぼくにとって大きな出来事でした。このエッセイをスタートするにあたって、彼と何度かやりとりをしました。その過程で、スイス(海外)と日本の状況を相対的に見ることができ、大きな気付きを与えてくれたのです。

世界で最も自身の理想を具現化している建築家の一人であるピーター・ズントーの元で設計活動をしていた経験から語られる、杉山さんの言葉には、強度とワクワク感があります。僕は、建築ってロマンだと思うし、建築でワクワクしたい。そんなワクワク感を如何に生み出せるかを、現代的なテーマを元に考えてみたいと思います。

村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第1回「コストとレギュレーション」ムトカのコンセプトドローイング

僕は現在まで建築設計の実務に十数年携わってきました。その間に設計を経験したビルディングタイプは、美術館、大型コンプレックスビル、豪邸、ギャラリー、展示構成、小住宅、物販店舗、集合住宅など。規模も数万平米から数十平米、コストは数百億から数百万まで、その振れ幅は大きく、また社会的な出来事としても、06年の姉歯事件、08年のリーマンショック、11年の大震災、20年のコロナウイルス感染症を経験し、その過程で建築を取り巻く状況も大きく変わりました。

様々な出来事を経るたびに、思い描くように建築をつくることが難しくなってきていることは間違いありません。ですが、考え方や捉え方を変えてみると今だからできること、今しかできないことがあるはずだと思っています。その探求から自身が考える建築の実現にたどり着けると思っています。


年々厳しくなるコストとレギュレーション

まず、最初に考えたいのは、「コストとレギュレーション」というテーマです。建築物を「作品」として捉える観点のなかで、コストについて話すことは意外とタブーになっているところがあります。それは、コストの話が先行してしまうと、建築の歴史や文脈から切り離され経済の問題にシフトしてしまうからでしょう。でも、現代に建築をつくるうえでコストは一番大きなコンテクストと言っても過言ではありません。実際に僕も、まずはコストでそのプロジェクトでの立ち位置を図っており、コストありきでないと前に進めないくらい重要な要素なっている実感があります。

実務に関わっている方なら共感して頂けると思いますが、年々建築コストが下がり続けていることに異論はないと思います。特に若い世代(僕より下の世代)にとっては、そもそもコストが掛けられる案件が存在すること自体が別の世界の話に聞こえるでしょうし、予算があるからこそできることは設計手法の範疇に入っていない、持ち得ていないというのが正直なところではないでしょうか。

実際に僕が実務に携わった十数年で建築にまつわる上述のような出来事がある度にコストは下がり、レギュレーションは厳しくなる一方です。だからこそ建築設計以外の部分で職能を発揮し、新たな手法をもって報酬を得る建築家が増えてきているとも言えます。そして、このような状況のなかで建築をつくり始める若い世代の人たちの話を聞いていると、まあ、それが当たり前で悲観的にならず肯定的に捉え設計をしているようことも分かります。

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