玉上貴人 / タカトタマガミデザインが設計した、兵庫・尼崎市の、物流施設内の休憩ラウンジ及び託児所「ESR尼崎DC KLÜBB エリア」です。本体の設計は大成建設が手掛けています。テナント誘致や人材確保に加え企業理念の観点から作られ、様々な居心地の場を提供する“円弧状の垂れ壁”で構成した休憩ラウンジ、子供の遊びを喚起する“まだら模様の床”を持つ託児所を設計しました。
アジア太平洋地域最大の延床面積を誇るマルチテナント型物流施設内の休憩ラウンジ及び託児所である。
テナント誘致、人材確保の目的だけでなく需要拡大著しい物流業界において「HUMAN CENTRIC DESIGN.(人を中心に考えたデザイン)」のブランディングのもと設けられたものであり、本施設で働く人は誰でも利用できる。
6階休憩ラウンジ
間口11m奥行55mに及ぶ大空間をヒューマンスケールに落とし込む為、円弧状の垂れ壁を挿入することで特性の異なる空間に仕切ることにした。垂れ壁に囲われた空間を「広場」、それ以外の余白空間を「路地」に見立て、それぞれに異なる天井高と仕上げを与えた。円弧状の垂れ壁が織りなす「そり」と「むくり」は魚眼レンズを覗いたときのような非日常性を演出し、歪んだパースによって利用者を奥へと誘導する効果を生むと考えた。垂れ壁は下端を斜めに切り落としたようなかたちとすることで波型の様々な高低差をもった目隠しとして機能させた。これは利用者に様々な居心地の場を提供するだけでなく窓外の六甲山の稜線と呼応し、風景を印象的に見せる役割も担っている。
1階託児所
間口いっぱいに子供達の目線にあわせ低く抑えた地窓を設置し、まだら模様の床を屋内から屋外園庭へと連続させた。
抽象的なまだら模様は空間的な広がりを生み出すだけでなく、子供達の衝動を促す仕掛けになっている。島々を渡るようにジャンプするかもしれないし、模様に沿って走りだすかもしれない。模様が何であるか子供たちは様々に捉え、自ずと様々な遊び方を見つけるであろう。