スティーブン・シェンク+服部大祐 / Schenk Hattoriが設計した、ベルギー・イーパーのインフォメーションセンター「Entrance Pavilion in Palingbeek」です。
大戦の過去を持つ自然保護区に計画されました。建築家は、ランドマークでエリアの動線の明確化や展示と集いも担う建築の要望に、構造ユニットが微細にずれながら連続する構成を考案しました。そして、奥行の変化が軒下に動線であり広場でもある空間を作ります。施設の公式サイトはこちら。
かつての第一次世界大戦の最前線、今は美しい緑が広がる自然保護区。
この広大な敷地入口に「エントランスを明示するランドマーク機能」「大戦の歴史と保護区に関する展示スペース」「来園者の集いの空間」「保護区全体のアクセスの明確化」という役割を担う建築物が求められた。
公園のエントランスへ向かう長い一本道を進んでゆくと、水平に伸びた一枚の屋根が木々の間から姿を現す。奥に伸びるもう一枚の小振りな屋根とその下の案内ボードは、背後にあるコンシェルジュの住まいのプライバシーを確保すると同時に、その先にあるカフェテリアへのアクセスを明示する。
長い屋根を支える1830mmスパン(2ヤードの部材寸法を採用)の短手構造ユニットの、部材同士の接合位置を徐々にずらしていくことでプロポーションに連続的な変化を与える。その結果、軒下空間は、端部から中央に向かうにつれ、動線的空間から広場的空間へと少しずつその性格を変えてゆく。
また、平面的な歪みが生む異なる厚みを持った内部空間には、集会所・展示室・ロッカーといった機能が収められ、直行する案内ボードによってその存在が覆い隠される。