坂田裕貴 / a.d.pと山田哲也 / ヤマダアトリエが設計した、東京・世田谷区の「世田谷 谷の家」です。
谷間の様な印象の建て込む旗竿地に計画されました。建築家は、開放感と安心感の両立を目指し、周囲と呼応する“斜面の様な”量塊と“視線の抜けと止まり”を操作する開口を考案しました。そして、意識から外部を消し穏やかに過ごせる空間を作る事も意図しました。
家族5人のため、東京都の住宅地で旗竿地に建つ住宅。
四方を建物に囲まれた環境で、周辺への広がりを保ちながらも家族だけの場所として穏やかに過ごすことができる空間を目指した。
敷地は2つの用途地域にまたがっているため周辺建物に高低差があり、さながら山間部の谷間の地域に入ったような印象があった。そのイメージをもとに敷地東の高い建物がある側に寄せて配置し、谷の地形をなぞり南西に向けて下る斜面のようなボリュームとした。そのボリュームに対して、周辺の街並みにまで広がるような開放感とそれとは相反する囲まれた安心感を両立させる操作を行なった。
家族が集まるリビングの大空間は1階北側に配置し、各部屋はリビングを起点とした関係や距離感をもとに地形に沿うようレベル差をつけて設けている。
無柱の大空間はリビング南面のハイサイドライト上部から2階腰壁までを一体とした合成梁を直行する方持ち合成梁で補助する構造で実現しており、内外が連続したのびやかで解放的な空間を作り出している。
またリビングから中庭、その先の和室を通して南の庭へ視線が抜けるといったように空間のレイヤーで奥行きを感じさせる構成としている。開口部においては、敷地外の空や離れた街並みに抜けていく景色や、屋内外を通りぬけながらも敷地内で完結する景色など、開放感と安心感の両立のため視線の抜けと止まりを意識した計画とした。