葛島隆之建築設計事務所が設計した、愛知・西尾市の住宅「7部屋のコートハウス」です。
SNS等で多くの情報を集める施主の為に計画されました。建築家は、様々な期待の具現化と街との繋がりの両立を目指し、要望を考慮した7つの部屋が周辺環境の成り立ちとも呼応する構成を考案しました。また、余白としての中庭は様々な距離感や領域の形成にも寄与する事が意図されました。
愛知県の郊外に建つ住宅。
新築にあたり建主は、SNSや雑誌などから集めた家具・照明・多種多様な仕上げ・設備機器・収納アイデア・窓周りの使い方など、住宅にまつわる大量のイメージを持っていた。そのイメージは必ずしも一貫しているわけでは無く、コンクリート打ち放しの外観写真も木貼りの外観写真もあれば、ミニマルでクールな内観写真も雑多で楽し気な内観写真もあった。便利で合理的な収納アイデアと味のあるアンティーク家具とが等価に並んでいた。
これらは、理想の暮らしに向かう要望の断片であり、竣工後も日々変化し続けるであろうと思った。そこで、それら大量のイメージの中から取捨選択するように空間をまとめあげるというよりは、様々な要素が溢れ、それらが響きあうような骨格のあり方を考えながら設計を始めた。
敷地は低層の住宅が立ち並ぶ閑静な住宅街。
付近の交差点は道路が直行しておらず、昔からの不整形な街区の形状が残るまちである。
計画敷地もその影響を受け平行四辺形の土地形状となっている。はじめのうちは平行四辺形のボリュームを検討していたが、敷地とボリュームの関係とは別に、内部の切り分け方を考える必要があるというのを不自然に感じた。まちの成り立ちと家の成り立ちが連続しているようで連続していないように感じられたのである。そこでボリュームを複数に分け、それぞれのボリュームを敷地境界線に正対させる事を考えた。