藤本壮介建築設計事務所が設計している、福岡の、太宰府天満宮の「仮殿」です。
“御本殿”の大改修に伴い“御神霊”を仮安置する為に計画されました。建築家は、相応しい“佇い”の創造を目指し、古くからの伝説に着想を得て周辺の自然が飛翔した様な建築を考案しました。また、屋根の植物が季節により移ろいを見せる事も意図されました。
2023年5月に竣工し、改修期間の3年間のみ使われます。施主の公式サイトはこちら。
太宰府天満宮周辺に広がる、豊かな自然が御本殿前に飛翔し、仮殿としての佇いを作り上げることをコンセプトとしています。
これは太宰府に古くから残る、道真公を慕う梅の木が一夜のうちに太宰府まで飛んできた、飛梅伝説から着想を得たものになります。
仮殿では梅の木の他にも天満宮周辺の植物が回廊内に軽やかに舞い、道真公の為の住まいの屋根を創りあげています。屋根の上の植物は、天満宮周辺の環境と共に、季節や天候によって様々な移ろいを見せることでしょう。
斎場内は、現代的なプロポーションと伝統的な空間が水平線上に広がり、御扉を中心とした祭壇が、森の影の中から印象深く映えることを意識しています。内部に近づくとルーバー状の天井が曲面状に現れますが、これは御本殿の伝統的な垂木を踏襲しており、厳粛な空間を想起させることを期待しています。
さらに内部に踏み入ると、斎場の天窓から美しい空と共に森が目に飛び込み、再び天満宮の豊かな自然を体全体で感じることができます。