阿曽芙実建築設計事務所が設計した、兵庫・神戸市の「鶴甲団地のリノベーション2」です。
団地を賃貸住戸に改修する計画です。建築家は、小空間への可変性の付与を目指し、中心の“コリドー”が各部屋との接点を作り建具の開閉でも様々な使用が可能な構成を考案しました。その時々に求められる“距離”を作れる仕組みの設計が意図されました。
約45年前に建設された団地は神戸の山の手にあり、上階の方では大阪湾が一望できるのどかで静かな場所だ。
この団地の一戸をリノベーションし、家族3人の住まいを計画することとなった。
鶴甲団地のリノベーションはこれで2回目になる。面積や形は似ているが、キッチンや浴室などの水廻りの位置が前とは随分違った。団地は、床下の懐もほとんどない上、梁せいも高く、床からの梁下の高さも1800ほどしかないため、水廻りの移動はなかなか困難だ。
ほぼ均等に仕切られた4つの空間を解体し、住戸の真ん中に、1つの四角いボリュームを挿入した。この四角い空間は、コリドーの扱いとし、梁とコリドーとの間に建具を入れ込むことで、コリドーの中とその周辺の空間を作ることにした。コリドーの周りにある空間は、建具の開け閉めで、空間を大きくしたり、小さくしたりでき、ある時にはワンルームに、ある時には2つや3つのエリアに分けることができる。