川上真誠+植村卓也 / クラウドアーキテクツが設計した、愛知・半田市の「さくらい腎泌尿器科クリニック」です。
この地域で育った施主の為の診療所に母が長年営む理髪店を併設した建築です。建築家は、育まれた“コミュニティー”の継承を求め、“光庭”を中心とした安心感のある居場所の構築を志向しました。また、街の風景や環境との接点も作り地域に接続させる事も意図されました。
愛知県半田市で施主のご両親が長年営んできた理髪店を建て替え、腎臓内科・泌尿器科クリニックと施主のお母様が営む理髪店を併設した建物を計画した。
施主は半田市で生まれ育ち、これまでも勤務医として近隣のクリニックで長年勤めてきた方であり、施主のお母様もこの地で長年理髪店を営んできた方である。そんな長年この地で育まれてきたコミュニティーを未来に渡って継承していく場のあり方を考えた。
計画が始まったのはコロナ渦まっ只中の2021年であり、密閉、密集、密接の3密が良くない事とされていた。
そんな状況にあっても、人が集う事を否定せず、コミュニティーを育んでゆける安心感のある居場所をつくりたいという思いから、光に満たされ新鮮な風が抜ける安心感を生む空間の象徴として、LightGarden(光庭)を空間の中心に据え、機能的特性の違う6つのボリューム(部屋)と3つのボイド(庭)を組合せることで全体を構成し、まちの風景や環境との接点を多く持った、地域環境に接続する建築の在り方を考えた。
様々な特性を持った部分(部屋)がそれぞれの特性を保ちながら結合することで生まれる建築の在り方は、どこかバラバラと無秩序に形成されているような街の風景を好意的に捉えつつ、それらの結節点となり、時間を掛け徐々に変化していくこれからの街の手がかりとなるような建築ができたのではないかと考えている。