


新井里志+中富慶 / Kiiが設計した、東京の住戸改修「House K」です。
高台に建つ集合住宅での計画です。建築家は、採光と通風に恵まれた“空間の質”を活かす為に、躯体の歪な形状に必要機能を収めて“空気感を共有できる大きなワンルーム”を構築しました。そして、素材と色を重ね合わせた異種混合の意匠を志向しました。
都心の高台に建つ築50年になるマンションに仕事場を兼ねた住居を設計した。
このマンションは近くの川に向かう、すり鉢状の地形の中腹にある。前面道路を挟み用途地域がかわるため目の前に背の高い建物はなく、バルコニーからは、地形に沿い広がる街と空を広く望むことができる。コの字型のフロアには3面に窓があり、1日を通して日の光が入り風が抜け、どこにいても外を近くに感じることができる。
地形や周囲の環境、長い間住み継がれてきた痕跡が、この場所独自の空間の質を生み出している。
これら様々な要素が重なることで生まれる元からここにあるものを最大限に生かし取り込みながら、居心地の良い場所にしたいと考えた。
既存の平面形状を利用し、コアによって切り取られた隙間や大小のスペースに必要な機能を与え、光や風をさえぎらない全部がつながったひとつの空間として構成している。ゆるやかに分けながらつなげていくことでそこにある空気感を共有できる大きなワンルームのような場所として、どこにいても居心地よく好きな場所を自由に選んで過ごせるようにした。
いつかの職人さんの手書きや作業の跡が残る躯体に、金属や木、ファブリック、土、漆喰、植物やテラゾーなど様々な質感と素材、たくさんの色を足していき、新しいものと古いもの、荒々しい質感や繊細な素材、異なる性質のものを重ねあわせ一体となって心地よい空間となるよう計画している。