吉村真基建築計画事務所|MYAOが設計した、愛知・名古屋市の、店舗「カレースパイス 八O吉」です。
SNSで集客する持帰り中心のカレー店への改修計画です。建築家は、写真1枚で行きたくなる存在を目指し、写真の面白さを“時間の凝縮”と解釈して設計方針を策定しました。そして、既存の痕跡に新たなレイヤーを重ねて新旧の両義性を持つ建築を作りました。店舗の公式ページはこちら。
名古屋市内の住宅地にあるテイクアウト中心のカレー店。
テイクアウト専門でスタートし、現在は1階を注文・テイクアウト、2階をイートインスペースとして営業している。
発信も注文もインスタグラムをメインにしている。
いまどきの食の体験は店舗に留まらず、家や公園で食べる時間だけでもなく、店と食事、点と点の間に薄く広がっているが、この薄い広がりを担保するためにSNSが非常に重要な役割を担っている。
従来型のテイクアウト(弁当やピザ)と大きく違うところは、印象的な店舗空間を持ち、SNSを用いて実際の店舗でない場所に店舗の空間を漂わせることで、メニューに付加価値を与えている点ではないかと思う。写真一枚で触れたい気持ちを掻き立て、店舗でない場所に店の空間を漂わせるにはどうしたら良いか。一瞬を切り取る写真の中に分厚い時間が凝縮されていることが写真の面白さならば、写真一枚で行ってみたいと思わせるショップであるための鍵は、そこに時間の存在が感じられることなのではないかと考えた。
そこで、二つの時間をデザインしようと考えた。
一つは街と店との間に横たわる長い長い時間のデザイン、もう一つは人と店との間現れては消える十分足らずの時間のデザインである。