一色暁生建築設計事務所による、兵庫・明石市の「林崎松江海岸の家 / カレーハウスバブルクンド」。海に近い住宅を改修した設計者の自邸兼事務所と店舗。既存から想起した“東南アジアの日本人街”を発端とし、各国文化や新旧素材等の“混在”を主題とする建築を志向。日本に根付いた“多国籍な住宅”の更新も意図
一色暁生建築設計事務所による、兵庫・明石市の「林崎松江海岸の家 / カレーハウスバブルクンド」。海に近い住宅を改修した設計者の自邸兼事務所と店舗。既存から想起した“東南アジアの日本人街”を発端とし、各国文化や新旧素材等の“混在”を主題とする建築を志向。日本に根付いた“多国籍な住宅”の更新も意図南西側外観 photo©大竹央祐
一色暁生建築設計事務所による、兵庫・明石市の「林崎松江海岸の家 / カレーハウスバブルクンド」。海に近い住宅を改修した設計者の自邸兼事務所と店舗。既存から想起した“東南アジアの日本人街”を発端とし、各国文化や新旧素材等の“混在”を主題とする建築を志向。日本に根付いた“多国籍な住宅”の更新も意図1階、店舗部分、左:客席、右:厨房 photo©大竹央祐
一色暁生建築設計事務所による、兵庫・明石市の「林崎松江海岸の家 / カレーハウスバブルクンド」。海に近い住宅を改修した設計者の自邸兼事務所と店舗。既存から想起した“東南アジアの日本人街”を発端とし、各国文化や新旧素材等の“混在”を主題とする建築を志向。日本に根付いた“多国籍な住宅”の更新も意図2階、住宅部分、食堂から居間を見る。 photo©大竹央祐

一色暁生建築設計事務所が設計した、兵庫・明石市の「林崎松江海岸の家 / カレーハウスバブルクンド」です。
海に近い住宅を改修した設計者の自邸兼事務所と店舗の計画です。建築家は、既存から想起した“東南アジアの日本人街”を発端とし、各国文化や新旧素材等の“混在”を主題とする建築を志向しました。また、日本に根付いた“多国籍な住宅”の更新も意図されました。店舗の公式サイトはこちら

海水浴場すぐそばの土地に建つ木造住宅を改修し、設計者の自邸と仕事場、そして知人が営むカレー屋とした。

建築家によるテキストより

その古い木造住宅の2階には、空と海だけをぽっかりと切り取るちいさな窓があった。時折船が静かに横切って行くのを眺めながら、かつて詩人金子光晴が旅をした東南アジア各地にあった日本人街のことを考えていた。そこでは、世界各地から集まった様々な文化とルーツを持つ人々が、自分たちの文化を混在させながら建物や街をつくり上げていた。かつての遠い熱帯にあった混在のイメージが、キラキラと煌めく水平線の向こうにまとわりついて離れなかった。

この家を設計しながら意識したのは「混在」についてだった。用途、文化や国籍、時間や空間、街と家、仕事と生活、この家を取り巻く様々な混在の在り方に注意を払いながら設計を進めていった。

建築家によるテキストより

自由に海外旅行ができ、インターネットで瞬時に世界と繋がることができる現代。街中には世界各国の専門料理店があり、普段気が付かないような生活の細部にまで様々な国の文化が入り混じっている。住宅も同様に、建材や意匠、すべてにおいて意識されることなく様々な国の文化や性質が混在している。意識して純粋な和風住宅をつくろうとでもしない限り、異国の文化は自然と入り込む。日本のスタンダードとなった「多国籍な住宅」は、もはや文化という文脈から離れ、無秩序に拡大している。

設計にあたって、今一度自身のルーツや文化的背景を理解した上で、この地に古くからある材料や技法を用いながら、異国のエッセンスを混在させることで「多国籍な住宅」を更新することができないかと考えた。また、それは日本の住宅文化を再評価するきっかけにならないかと考えた。

建築家によるテキストより
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る外観 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るAブロック、3階、ポット2を見る。 photo©鳥村鋼一
オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作るCブロック、2階、廊下から全体を見る。 photo©鳥村鋼一

萬玉直子+西田司+神永侑子+西田幸平+オンデザインが設計した、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮 神奈川大学新国際学生寮・栗田谷アカデメイア」です。
多様な学生が住む寮の計画です。建築家は、共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成しました。そして、小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る事が意図されました。

この寮では、国内学生から留学生まで多様なバックグラウンドを持った学生が200人集まって生活する。
半年間の短期留学の学生もいれば、2~3年在籍する学生もいることが見込まれている。住まうメンバーの更新サイクルが比較的早い中で、共同生活を通して、交流(国際理解・文化交流)を促進する新しい考え方の学生寮の実現が求められた。

建築家によるテキストより

「交流空間」と聞くと、ついつい「人が大勢集まることのできる部屋の用意」が前提となりがち(この場合だと200人が集まることのできる部屋)だが、こういった個人の生活におけるモチベーションが交流のきっかけになると考えた。個人の生活が互いに影響し合い繋がる小さな交流が、200人集まることで同時多発的に起こることを目指した。
そこで、寮室(個室)は可能な限りコンパクトにし、生活のほとんどを受け止める最大限の共用部をつくった。

建築家によるテキストより

建物は3つのブロックに分節しており、寮室(や共用キッチンや水回り)が面する廊下に囲まれた4層の吹き抜けが1ブロックごとにある。
この4層の吹き抜けは、平面的には中廊下タイプの廊下をぐわっと広げてつくったような吹き抜けだが、雁行している建物形状がそのまま内部にも入り込んでいたり、バルコニーのように張り出している場所(コーナーポット)がある。また、吹き抜けには縦動線である階段を2軸用意し、各階でいろんな方向に架かっており、各中間階にある踊り場は腰壁に囲まれた居場所(ポット)となっている。

建築家によるテキストより

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