MADによる、中国・上海の「The Ark | Shanghai Cement Factory Warehouse Renovation」です。
70年代竣工の倉庫を複合施設に改修する計画です。建築家は、新旧の構築物が並置される状況を求め、既存の壁の間に“金属製のヴォリューム”が浮遊する構成を考案しました。そして、都市の記憶を未来に繋げると共に人々の為の新たな交流空間を創り出しています。本建築は2026年までの完成を予定しているとの事。
こちらはリリーステキストの翻訳です
The Ark|MADアーキテクツが上海セメント工場倉庫のリノベーションデザインを公開
MADアーキテクツは、上海張江セメント工場倉庫のリノベーションのデザインを公開しました。
改修の対象となったのは、上海張江セメント工場の南側にある「Wanmicang」倉庫です。MADのリノベーションは、新旧の建造物を並置することで、時間と物理的な次元の3次元的な階層を構想しています。上昇する箱舟のような、変貌を遂げた建物は、公園を文化、創造性、商業、シェアオフィスを統合した多機能の公共ウォーターフロント・スペースに変えることで、朽ち果てた工業用地に新たな命を吹き込むでしょう。
上海張江セメント工場は、かつて上海の3大セメント工場のひとつでした。1971年に建設され、2013年に生産を終了するまでの50年間、上海の都市建設の発展を見守ってきました。この倉庫はかつて、加工のためにセメント工場に原料を送る船が最初に立ち寄る場所であり、現存するセメント工場最大の建物でもあります。その川沿いのファサードは、まるで広大な絵巻物のようで、上海の人々の何世代にもわたる都市の記憶となっています。
近年、国内外の先駆的な建築家たちが、「1万メートルサイロ」、「セメントサイロ」、「窯尾塔」などの歴史的な産業建築物を継続的な再利用を通じて保存するために公園群の設計を依頼されています。歴史的な工業用建物をリニューアルして再利用し、研究開発、文化とスポーツサービス、創造的な商業支援のための施設を開発することで、セメント工場はさまざまな種類のビジネスとダイナミックな建築空間を備えた複合キャンパスに生まれ変わります。
MADアーキテクツの創立パートナーのマー・ヤンソンは言います。
「産業遺産が保存され、活用されるのは、それが歴史的な記憶を携えているからというだけでなく、より重要なのは、それが未来に歴史を感じさせるからです。だから、私たちはここで工業的な美学を賛美し強化する必要はなく、むしろ現代と未来の精神に焦点を当てるべきなのです」
この改修は、古い屋根を箱舟のような金属製の「浮かぶ」ヴォリュームに置き換えることで、倉庫の元の工業建築的な外観を保存します。古いコンクリートの荒々しさと新しい金属の滑らかさのコントラストは、老朽化した工場建物に新たな命を与え、元々の工業スペースは多機能な都市のリビングルームへと生まれ変わります。オリジナルの工業用建物の長い斑模様のファサードは補修・補強され、新しい空間の記憶と魂の一部となります。張江副都心に面する西側の壁は撤去され、全面吊り下げ式のガラスカーテンウォールに変更されます。これは元の壁から後退して設置され、外側に24時間利用可能な都市公共空間を創出します。