畝森泰行による、プリズミックギャラリーでの建築展「ゆっくり庭をつくるように」です。
進行中の中学校のプロジェクトをメインに据えた展示です。建築家は、建築の“不確かで曖昧な”側面に着目し、それを“庭”と呼んで展覧会のテーマにも設定しました。また、他作品のドローイングや模型も並置して“関係性や時間の流れ”も見せる事が意図されました。
展示の開催期間は2023年12月23日まで。入場無料です。展覧会の公式ページはこちら。また、2023年12月16日に畝森泰行・西澤徹夫・増田信吾が登壇するトークイベントも企画されています(詳細は末尾に掲載)。
私たちは建築の全てを把握できません。その物理的な大きさや複雑さゆえに、一度に全体を眺めるのは難しく、また設計中に模型や図面を使ってどんなに想像しても、どこか理解できない余白が残ります。また建築はたくさんの人が時間をかけてつくります。その過程で個人の考えや当初のイメージから変わっていくことがあり、それらの理由で建築は、強く固定的な存在でありながらも、曖昧で他律的な側面をもつと言えます。
私はそういう建築の不確かな部分に惹かれます。朧げで変わりうるところがあるからこそ、緩やかに動く自然や異なる他者と結びつく可能性をもつのであり、それがいま、バラバラな個人をつなぎ、早すぎる時間を緩め、閉じた世界をほぐすことになるのではないだろうか、そう期待するのです。この不確かで曖昧な存在を今回私は「庭」と呼ぼうと思いました。
今年9月に、この会場とは別に展覧会を開催する機会があり、今回もその時と同じタイトルとテーマにしました。ここでは、現在も進行中(2期工事中)の奈義町立中学校をベースに、他の作品のドローイングや模型などを断片的にいくつか並置するように展示しています。それらは当然異なるものですが、どこかでつながっているところもあり、そういう関係性や時間の流れも含めて展示したいと考えました。試行錯誤しながらも続く、私たちの建築の一端を感じていただければ幸いです。