五十嵐理人 / IGArchitectsが設計した、埼玉の住宅「2700」です。
3m×16mの細長い角地に計画されました。建築家は、柱で“コンクリートの箱”を持ち上げる構成とし、外部環境をダイレクトに取込む“多様に変化する”内部空間を創出しました。また、上階は対比的な“籠れるような空間”で引立て合う関係性を作ることも意図されました。
間口3m程度、奥行き16mという道路の拡張に伴い切り取られ、残されていた細長い敷地に計画した、若い夫婦二人ための住宅である。長い奥行きを生かし、2.7mという間口の建物だからこそできる、内部空間や外部との関係性をつくりたいと考えた。
建物は8本の柱でコンクリートの箱を持ち上げる構成になっていて、1階は使い方の固定されない空間、2階はプライベートな空間になっている。敷地の南北と西側の3面は開けていて、多方向から採光を望める環境であることを生かし、建物の4周に開口部を設けた。
地続きの土間空間から入ったそこは高い壁と大きな柱に囲まれた洞窟のようになっているが、歩を進めるにつれて、内部空間に入り込んでいくのに、開口部が近くなり逆に外部が近くなる。開口部と床の位置によって外部との関係をコントロールできる、自由で開放的なリビングになっている。2階は開口部と天井高さを抑え、開かれた1階とは対比的に、こもれるような空間として、二つの空間が呼応し、引き立てあう状態になれば、と考えた。