nendoが設計した、長野・軽井沢町の「塀の家」です。
道路沿いの細長い三角形状の敷地での計画です。デザイナーは、外部の視線を遮りながら周辺環境を楽しめる建築を目指し、“フィルター”の役割を担う“ブロック塀”のデザインから開始しました。そして、5列の塀を建て隙間を“埋める”様に居室を配置しました。
長野県軽井沢町に建つ個人住宅。
道路沿いにある、長さ110mの細長い三角形状の異形な敷地であることから、目の前を通過する車や歩行者からの視線は遮りながら、緑豊かな周辺環境を楽しめるアイデアが必要とされた。
そこで、まずはフィルターのような役割を持ったブロック塀をデザインすることに。
ひとつひとつのブロックの角度が変えられることで視線をコントロールできるようにし、場所によっては塀を2列組み合わせて使用することでさらに細かい視線の調整が可能に。
塀が1列の場所は視線を一方向に設定でき、2列に重なる場所では、同じ角度で前後のブロックが揃うと向こう側が見え、角度が異なると遮断される。
ブロックには「CO2-SUICOM®」※を使用。
コンクリートの主原料であるセメントの一部を産業副産物に置きかえ、そこに二酸化炭素を吸収する材料を加えることで、製造時の二酸化炭素を削減するというもの。
このブロックを約2050個使った高さ3mの塀をずらしながら5列平行に配置し、その隙間を「埋める」ようにして居室を設計。
寝室や浴室などのプライバシーは確保しつつ、リビングやダイニングには適度な開放感など、条件に応じてブロックの角度を3度単位で調整し、最終的にグラデーション状にブロックの向きが変化するデザインとなった。