室宏アトリエが設計した、大分・宇佐市の「宇佐の家」です。
“自然と住宅地が切替わる”場での計画です。建築家は、外の視線を遮りつつ“環境を享受”する為、壁で閉じた空間の上に“切妻の大屋根”を架けて間に高窓を設ける建築を考案しました。また、内部では小さな間仕切を点在させて光と風を共有しています。
大分県宇佐市に建つ、夫婦と子のための住宅である。
出産を機に自然豊かで静かな環境で子育てを行うために、新築住宅の計画が始まった。
宇佐平野に位置する平坦なこの地域は、役所や小学校、病院が徒歩圏内にあるため利便性が良く、近年田畑を埋め立て新築住宅が建ち始めている。敷地北側は、近年整備された都市計画公園や昔ながらの田畑風景が広がる自然豊かな環境であるが南側は造成により地盤レベルが1m高くなっており、住宅が密集していた。
この自然と住宅地が切り替わる場所で、家族のプライバシーを守りながら、如何にして外部環境を享受するかが焦点となった。
そこでまず、家族の安全を担保するために最低限の窓を孔けた壁で内部を囲み周囲から閉じた。
次に、公園の大きなスケールを受け止めるため敷地の長手方向いっぱいに切妻の大屋根を掛けたこれにより、プライバシーを守りながら、壁に屋根を乗せることで生まれる屋根形状に沿ったヴォイドから光が降り注ぐ明るい内部を作った。
大きな気積を持つワンルーム(LDK)に対し、個室(子供室、WC、納戸など)や間仕切り壁を小さなスケールで点在させ、その間を建具で分割せずに曖昧な場を繋げることで、光や風を共有している。加えて、個室の天井を吹抜や透明な素材とすることで個室内も光を精一杯享受した。一方、プライバシー性の高い寝室は、LDKから小さな切妻を伸ばすことにより、ワンルームに対し離れのような落ち着く小さな空間とした。