OKDOが設計した、静岡の「森を育む丘の家」です。
森を切り拓いた新興街区での計画です。建築家は、地域の成長や豊かさにも寄与していく存在を目指し、敷地境界の内外を緩やかに接続する“丘のような”建築を考案しました。また、人と犬の快適な共存も意図して建築の内と外も曖昧にしています。
静岡県某所にある区画整理事業地の一角に、丘のような住宅を設計しました。
森を切り拓いて作られた敷地周辺には、設計当初は街路樹や公園などの緑が一切なく、人工的な風景が続いていました。新興街区に建ち始めた建築は配置も高さもバラバラでとりとめがなく、町並みとして目指す方向が定まっていないように見えました。私達はこの場所に、町の成長や豊かさに寄与するような、そんな風景を作りたいと考えました。
住み手は、人間と犬が垣根なく快適に共存できる空間を求めていました。
まず敷地の高低差を利用して丘状の地盤を設計し、地盤内に「外部のように開放的な内部空間」や「内部のように落ち着く外部空間」を作ることで、屋内と屋外の境界を曖昧にしました。つぎに敷地の気候環境を丁寧に検証し、空調システムに頼らなくても快適で、四季の移ろいを愛おしみながら生活できるように設計を進めました。
敷地境界を塀で囲わずに緩やかに繋げたことで、住宅内から眺める空はおおらかに広がり、道往く人々は豊かな緑を享受します。こうして、一般的には公共性の希薄な住宅に、町との良好な関係性を生み出しました。