板坂留五 / RUI Architectsの会場構成による、東京・日本橋での展覧会「DESIGNTIDE TOKYO 2024」です。
気積のある多目的ホールでの計画です。建築家は、訪問者に主体的な鑑賞を促す為、“ピント”を主題として一時的な空間を下支えする“ハコの完璧さ”にも着目し設計しました。そして、天井を操作して“みる場にふさわしい空気のかたち”を作り出しました。
会場は、日本橋三井ホール。会期は2024年11月27日~12月1日です。展覧会の公式サイトはこちら。
今私たちに必要なのは、「みる技術」ではないだろうか。
それは、みられることや、みないことに意識を配るのではなく、自身の感覚を働かせて、ものの存在・形・様子・内容を深く探り入るような能動的な行為のことであり、カメラのピントを合わせるように、モノと自身とで対話ができる身体(想像力)のことである。
テンポラリーな空間には、独特の軽さを感じる。期間の短さや資材の簡素化も要因のひとつだが、テンポラリーさを下支えするハコの完璧さが、かえって内側の空間に空虚さを与えてしまっているのかもしれない。
例えば、ホールの天井の完璧さ。バトンやダクトレールが規則正しく並び、いつどんな催しにも対応できるよう周到に準備がなされている。木質を基調としたホール空間のなかでそれらは黒子に扮しているが、その頼もしい姿につい気をとられてしまう。
そんな完璧な天井を操作をすることで、「みる場」にふさわしい空気のかたちをつくろうと思う。
ここで過ごすいっときのための儚くドラマチックな空間ではなく、じっくりピントを探したくなるような、たっぷりとした自由な場、ひとりひとりのピントが瞬き充満するような空間を目指している。