崔愷による、大阪・関西万博の「中国パビリオン」。“自然と共に生きるコミュニティの構築”をテーマとする施設。歴史と文明発展を伝える存在として、古代の知識の運び手“竹簡”から着想を得た建築を考案。細長い敷地を魅力的な庭園の様な展示ルートに変貌させる photo©ArchExist
崔愷による、大阪・関西万博の「中国パビリオン」。“自然と共に生きるコミュニティの構築”をテーマとする施設。歴史と文明発展を伝える存在として、古代の知識の運び手“竹簡”から着想を得た建築を考案。細長い敷地を魅力的な庭園の様な展示ルートに変貌させる photo©Li Ji
崔愷による、大阪・関西万博の「中国パビリオン」。“自然と共に生きるコミュニティの構築”をテーマとする施設。歴史と文明発展を伝える存在として、古代の知識の運び手“竹簡”から着想を得た建築を考案。細長い敷地を魅力的な庭園の様な展示ルートに変貌させる photo©ArchExist
崔愷による、大阪・関西万博の「中国パビリオン」。“自然と共に生きるコミュニティの構築”をテーマとする施設。歴史と文明発展を伝える存在として、古代の知識の運び手“竹簡”から着想を得た建築を考案。細長い敷地を魅力的な庭園の様な展示ルートに変貌させる photo©ArchExist
崔愷による、大阪・関西万博の「中国パビリオン」。
“自然と共に生きるコミュニティの構築”をテーマとする施設です。建築家は、歴史と文明発展を伝える存在として、古代の知識の運び手“竹簡”から着想を得た建築を考案しました。そして、細長い敷地を魅力的な庭園の様な展示ルートに変貌させています。施設の公式ページはこちら 。
こちらはリリーステキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)
「中国の竹巻物」― 未来に向き合う遺産
2025年大阪万博 中国パビリオン
建築面積3,509平方メートルの2025年大阪万博中国パヴィリオンは、外国による自前建設のパヴィリオンの中でも最大級のひとつです。「中国の竹巻物」というコンセプトに着想を得た建築デザインには、竹、漢字、古代の巻物といった文化的に豊かな象徴が取り入れられています。情報の古代の媒体である竹簡を、現代のデジタル時代の視点から再構築することによって、中国館は中国の何千年にもわたる歴史を語り、生態文明の進展を紹介し、「いのちのための共通の未来を築く:明日の社会に向けたグリーンな発展」というテーマを体現しています。
万博会場の中心エリアに位置する中国パヴィリオンは、南側で主要道路に面し、西側では中央景観エリア「静けさの森」と隣接しています。そのデザインは、竹巻物が徐々に開かれていく空間モチーフを用いており、細長い敷地を魅力的な庭園のような展示ルートへと変貌させています。来場者は、高さや光、風景が変化する曲がりくねった空間を通って案内され、東洋美学の繊細な優雅さが喚起されます。テーマ展示が順を追って展開され、壮大な山水画の巻物を思わせるダイナミックな旅路が創出されます。
「竹巻物」のコンセプトは単なるファサードデザインを超えたものであり、形を形作り、機能を示唆し、素材を規定し、文化を伝えます。古代中国において、竹簡は知識の運び手として極めて重要な存在でした。現代においては、それは伝統と情報革命をつなぐ架け橋の象徴となっています。パヴィリオンの「中国の竹巻物」は、小規模から記念碑的なスケールへ、平面的な形から立体的な形へ、文字通りの表現から抽象的な表現へ、静的なファサードから没入感のある奥行きへと進化しています。この進展は文明の発展を映し出しており、伝統的な文字情報の伝達から現代の電子データの拡散へと移行し、歴史から未来への旅を体現しています。
西側で「静けさの森」に面する中国パヴィリオンには、竹製スクリーンのような細い格子状のカーテンが設けられています。そのカーテンの裏には竹に縁取られた小径があり、その向こうでは木々がやさしく揺れています。この相互作用が東洋の庭園の雰囲気を生み出し、来場者は重なり合うヴェール越しに「静けさの森」と関わり、東洋思想の核心である人間と自然の調和的共存を体感することができます。
中国パヴィリオンの設計と建設は、グリーンな持続可能性を最優先にしています。当初は国産のバンブースクランバーを用いた現代的な竹構造として計画されていましたが、現地の規制とスケジュールの制約により、鉄骨造へと変更されました。しかしながら、竹は依然として主要な外装材として用いられており、その理由は、成長サイクルの短さ、高い炭素吸収能力、生分解性、柔軟性、そして低い熱伝導率にあります。
屋根には半透明のポリカーボネートパネルと膜天井が用いられており、薄い紙(rice paper)を模して自然光を空間にやわらかく取り入れています。竹の壁の隙間から風や日差しが差し込み、展示と環境との相互作用を促し、建築空間とテーマ内容を融合させています。この手法は、エネルギーを多く消費する暗い展示ホールを避け、環境効率を高めています。仮設の万博建築として、中国パヴィリオンは完全にモジュール化されたプレハブ工法を採用しており、効率性、品質、そして会期後の解体や再利用の容易さを確保しています。