宮崎晃吉 / HAGISOによる、東京・足立区の「ルミネ北千住 社員食堂」。商業施設内の人々が利用する空間の改修。食事の場を超えた“意欲が向上する”存在を求め、性格の異なる3つのエリアをつくり“活動を誘発する”個性的な家具を配置。計画の前段として当事者を集めたWSも実施 「LIVELY」エリア、階段状の家具、厨房側を隠す役割とイベント時のステージの役割を担う。 photo©Yikin HYO
宮崎晃吉 / HAGISOによる、東京・足立区の「ルミネ北千住 社員食堂」。商業施設内の人々が利用する空間の改修。食事の場を超えた“意欲が向上する”存在を求め、性格の異なる3つのエリアをつくり“活動を誘発する”個性的な家具を配置。計画の前段として当事者を集めたWSも実施 「LIVELY」エリア、開口部側からエントランス側を見る。 photo©Yikin HYO
宮崎晃吉 / HAGISOによる、東京・足立区の「ルミネ北千住 社員食堂」。商業施設内の人々が利用する空間の改修。食事の場を超えた“意欲が向上する”存在を求め、性格の異なる3つのエリアをつくり“活動を誘発する”個性的な家具を配置。計画の前段として当事者を集めたWSも実施 「COZY」エリア photo©Yikin HYO
宮崎晃吉 / HAGISOによる、東京・足立区の「ルミネ北千住 社員食堂」。商業施設内の人々が利用する空間の改修。食事の場を超えた“意欲が向上する”存在を求め、性格の異なる3つのエリアをつくり“活動を誘発する”個性的な家具を配置。計画の前段として当事者を集めたWSも実施 「CHATTY」エリア、ファミレス席 photo©Yikin HYO
宮崎晃吉 / HAGISO による、東京・足立区の「ルミネ北千住 社員食堂」です。
商業施設内の人々が利用する空間の改修です。建築家は、食事の場を超えた“意欲が向上する”存在を求め、性格の異なる3つのエリアをつくり“活動を誘発する”個性的な家具を配置しました。また、計画の前段として当事者を集めたWSも実施されました。
ショッピングセンター、ルミネ北千住にある社員食堂のリニューアル。
本社員食堂は、ルミネで働く店舗スタッフや施設管理・営業を行うスタッフ、清掃スタッフなどの食事・休憩スペースとして利用されてきた。荒川が一望できる眺望と、リーズナブルで栄養バランスに配慮した食事を提供する食堂は人気ではあったが、内装は、老朽化と場当たり的に行われてきた改修により、統一感を欠き望ましい環境ではなかった。
また、施設管理をする施主側には、単に食事をする場所以上の使われ方を生み出すことで、働く人たちのモチベーションの向上や定着率を高め、店舗間のコラボレーションなどが生まれる雰囲気を醸成したい狙いもあった。
限られた設計・施工期間ではあったものの、まず施設利用当事者であり、今後企画運営も担う営業部社員を集め、自分たちの想像する利用シーンを拡張していくためのワークショップを行った。
ワークショップは事前にHAGISOの設計スタッフが食堂の現状の使われ方を丸一日現地で観察・記録した上で、様々なアイデアをアイデアカードとして用意し、その組み合わせをディスカッションする形で行われた。利用者であり企画者である参加者が数多あるアイデアカードから必要なカードを選び、レイアウトを想像していくことで当事者意識が高まっていく。
また、当初は設計範囲外であった食堂隣の室も、境界の間仕切壁を撤去することで、3つの室空間が連続的につながることになった。
ここまでの検討を通じて、家具レベルでの個別のアクティビティと、3つの室が群としてそれらを包含するエリアになりうることが見えてきた。
レイアウトはまず、荒川を一望できる明るくて広い中心エリアを「Lively」、自動販売機やファミレス席のあるエリアを「Chatty」、比較的自然光が届きにくく天井高が低いエリアを「Cozy」と名付け、それぞれのエリアの性格付けを明確に区別した。
「Lively」はアクティブな活動を想定したエリア。固定家具は室の際に集約し、可動でスタッキングできる家具を中心に選定している。階段状の家具は厨房側を隠す役割と、イベント時のステージとなることを意図した。
「Chatty」は気兼ねなくおしゃべりができる複数人での利用を想定したエリア。前述のファミレス席や、Livelyとの境界をまたぐかたちで配置されたビッグテーブル、スタイリング撮影が行えるフォトブースなどを用意。
「Cozy」は他とは対称的で一人用の静かなリラックスエリア。照度を抑え、壁際に並ぶソファベンチは一人ずつ袖壁で仕切ることで他者を気にせずリラックスできる。中央のロングテーブルもデスクライトによって視線を切りつつ、集中力を高める働きがある。
これら3つの性格の異なるエリアがゆるやかに場のトーンを作り出しながら、個性的な家具たちが具体的なアクティビティを誘発する。食堂として多様な過ごし方を受け入れつつ、食堂以上の場になるきっかけを仕掛けていった。