



西久保毅人 / ニコ設計室が設計した、神奈川・藤沢市の「足立さんの家」です。
“街と連続する境界意識”を持つ施主の為の住まいです。建築家は、野良猫が集まり植物が溢れる庭との要望に、基礎の在り方を考える計画を志向しました。そして、“ベタ基礎”の分割や“杭基礎”の導入で地面を多く残して動物たちの居場所もつくりました。
どんな「境界意識」を持って暮らしているかはけっこう人それぞれです。
この敷地にはもともと古い平屋の家が建っていて、足立さんご家族と3匹の猫と犬が暮らしていました。街の野良猫たちもよく庭に遊びに来ていたそうです。あまりに親しみを持ってお話しをされるので飼ってる猫の事かな?と思っていたら野良猫の話だった事もよくありました。
そういう意味で足立さんにとっての暮らしの境界は自分の敷地を超えて街とゆるやかに連続している様に感じました。
建て替えるにあたっていろんなご要望がありましたが何よりも、「野良猫たちがまた遊びに来てくれる様な家にしたい!!!」そして「土の地面をたくさん残して植物あふれる庭にしたい」というのが主なご要望でした。
とはいえ最低限に設計を進めても、建築が地面の大部分を覆ってしまいそうでした。
そこで建築が地面と直接接する基礎形状について改めて考える事にしました。木造住宅の基礎から上に生まれる人間の生活空間と、地面と木造の架構の間にある空間。それを分けて考える事で、それぞれの居場所を重ね合わせる事ができるのでは?と考えたのです。
具体的には母屋のベタ基礎は二つに分割しその間に地面を残しました。そしてその上をインナーテラスとし、家の中に外部が貫入しているような空間としました。道路側に配置したはなれの下の空間は杭基礎により1mくらい浮かせる事で飼い犬や野良猫たちが雨や日差しを避けつつ過ごせる動物たちのピロティーとしました。
地面から浮かせた事が2次的に、角地に集まる周囲の視線から生活を守る役割ともなりました。主な生活空間は1階に計画し、大部分を幅広い縁側空間とした事で暮らしが庭にはみ出していきます。2階は最小限のボリュームとし、屋根という人工的な地面を作りました。窓から気軽に屋根上に出ることができますし、屋根の上にも野良猫たちが立ち寄れそうです。
